少し前になりますが、「発達障害の基礎知識リンク」の記事で、障害そのものについて簡単にご説明させていただきました。
今回は、その一歩先、発達の偏りがあるかどうかを見るための検査について書きたいと思います。

‘発達の偏りを見るための検査’とは?

現在、発達障害の可能性が大きいかどうかの判断材料として、もっとも一般的な心理検査が「WAIS(ウェイス)」と「WISC(ウィスク)」です。

どちらもウェクスラー式知能検査というもので、年齢によってどちらを受けるかが決まります。
WAISは16歳以上~成人向け、WISCは5~16歳11ヶ月までが対象となります。
ちょうどその境目の16歳の場合はどちらでも受検可能ですが、検査担当者がより適切と思う検査を選ぶことが一般的です。

知能検査で発達障害がわかる?

WAIS・WISCとも知能検査ですので、もともと発達障害を診断するために開発されたわけではありません。ですので、検査の結果が「○○の項目が何点以上なので自閉症スペクトラムの疑いあり」という数値で出るわけではないのです。

では、なぜ知能検査を行うかと言いますと、その方の能力を多方面から測定できるため、その方の能力特性(何が得意で苦手か等)や極端なアンバランスさがあるかどうかを見るのに適しているからなのです。

これらの情報を基として、検査を受けられた方のお悩みやお困りの状況について、‘生まれつきの発達の偏り’の要因が大きそうかどうか、を検査者が検討していくことになります。

検査を受けることの意味

ご自分、あるいはお子様のIQ(知能指数)を知ってしまうのは怖い、という感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、IQという数値そのものだけでなく、特性を知ることによって、「だから自分はこういうことが苦手なんだな」という自己理解につながったり、適切な職業選択につながることもあります。

お子様の場合ですと、周囲の大人の方がどう関わるとよいかヒントが得られたり、適した教育環境を整えてあげるための判断材料ともなり得ると考えられます。

検査の‘その後’も大切に

お子様がある程度理解できる年齢の場合ですと、ご本人に結果をどう伝えるか、あるいは伝えないほうがいいのか、といったご心配も出てくるかと思います。そのような気がかりな点につきましては、事前相談の際に検査担当カウンセラーまでご相談いただければと思います。
CAFICでは、「一つ一つのステップを大切に」サポートしていくことを目指しています。

コロナは家族の関係性にもさまざまな影響を与えています。

「家族でいる時間が増え、団らんの時間が増えた」など、ポジティブな話もありますが、相談の場で耳にするのは、圧倒的にネガティブな変化です。

「家族が家にいるので食事の準備が大変になった」
「(パートナーが)家にずっといるだけでストレスなのに、テレワークで遠慮しながら生活しなければならない」
「夫が家にいる時間が増えたせいでトイレの汚れが目立つようになった」

・・・とくに夫婦(カップル)関係の悪化を口にされる方が目立ちます。

価値観の違いが浮き彫りに

「コロナ」の考え方の違いやとらえ方の違いから、お互いの価値観の差異が浮き彫りになるケースも少なくありません。

そもそもコロナについては、いまだ不明な点も多く、ネット情報などではその脅威を極端にあおるものから、「風邪みたいなものだ」と軽んじるものまでいろいろです。
ワクチンができたとは言え、その効き目も、副作用も不透明です。

そんな状況では、過剰に防衛したくなる人がいる一方で、見えない敵との長期戦に疲れ、「たいしたことはない」と考えたい人も出てきます。

考え方が違えば、日常の行動様式も変わってきますから、一緒に生活していれば大変です。家族の中にとても敏感な人がいたり、逆に極端に無頓着な人がいると、衝突を免れません。

気の置けない間柄だからこその難しさ

これまで、きちんと話し合う習慣を持っていた夫婦(カップル)ならよいですが、「なんとなく流して」やってきていたりすると、深刻な事態を招くこともあります。

話し合おうにも、「そのためのスキルもベースも無い」ということもあり、いったいどこから手を着けたらよいのかさえ分からなかったりします。

そのうえ、長年、共に過ごした気の置けない仲だからこそ、また、自分にとって身近な人だからこそ、「分かって欲しい」「どうして分からないのだ」という気持ちが先走ります。ついつい激しい言葉を使ってしまったり、遠慮の無い態度を取ってしまい、さらに関係を悪化させてしまうこともあるでしょう。

第三者に相談という選択肢

煮詰まりきってしまう前に、「客観的な立場の第三者に相談」という選択肢も視野に入れてみてください。

二人だけでやりとりしていると、「相手にきちんと伝えているつもり」が実は全然伝わっていなかったり、たんに感情のぶつけ合いになってしまっていたり、論点がずれたままだったり・・・というようなことがよくあります。

そのことに気づかないまま、話し合いを重ねようとしてますます負のループに陥ってしまうことにもなりかねません。

どちらか一方の相談でも変化は可能

「夫婦(カップル)同時に」ご相談に来られることが難しい場合は、まずは行き詰まりに気づいた方のほうが、一歩を踏み出してみてください。

CAFIICでは、家族療法の視点を入れたカウンセリングを重視しています。

たとえ当事者がそろわなくても、ご相談に来られた方を通して、「夫婦(カップル)の間に何が起きているのか」を共に考え、「来室された方が大事にしたいこと」や「相手に伝えたいこと」を整理しつつ、夫婦(カップル)の関係性を変化させていくことができます。

相手(パートナー)の方に来ていただけたときには、カウンセラーが夫婦(カップル)それぞれのご意見やお気持ちをうかがって、行き違いを修正したり、足りない言葉を補ったりしながら、問題解決のお手伝いをさせていただきます。

「子どものことで相談したいけれど、本人がカウンセリングには行きたがらなくて」というご相談を承ることがしばしばあります。

小学校高学年から中学生、いわゆる思春期の時期になりますと自我が芽生えて主張がはっきりしてきますので、なおさらそのようなお子さんも多いことと思います。

ご本人が来室されなくてもOK

病院の場合、「ご本人が来て診察を受けてもらわないと薬が処方できないので」と言われてしまうこともあるようですが、CAFICではそのようなことはありません。

保護者の方がお子さんを説得しようとしてエネルギーを消耗してしまったり、時期が延ばし延ばしになってしまうよりも、まずは保護者の方に相談にお越しいただくことをお勧めしております。

「本人を見ないとわかりませんよね?」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、保護者の方のお話だけでも十分カウンセラーは対応策を考えることができます。
保護者の方からの情報で、見立て(ご本人がどのような心理状態にあるかの推測と今後の見通し)はだいたいできますし、それに基づいて、ご家族の方がお子様にどう関わっていただくのが良いか、どのように環境を調整していくことが望ましいか、といった点についても考えることができます。

最後までご本人が登場しないことも

カウンセリングではお子さんが相談の場に直接現れなくても、ご家族の心理支援をおこなうことで、ご本人に間接的にアプローチし続けることが可能です。
これは「家族療法」という心理療法の一種を用いた手法で、お子さんの年齢を問わず、適用することができます(お子さんが成人している場合でも大丈夫です)。
ですので、中にはカウンセラーはご本人とは全く会わないまま、保護者の方とのカウンセリングを継続することで、ご本人の問題が改善したり、解決に近づいたりすることもあります。

本格的な‘引きこもり’を防ぐために

特に不登校で家や自室にこもりがちになっているお子さんの場合、「大事な話をしようとすると逃げてしまう」「本人が相談に行くと言ったのに実際にはなかなか動かない」といった状態になることが多く、専門家が関わるタイミングが遅くなりがちです。

不登校やこもりがちの状態が長期にわたりますと、自動的に本格的な引きこもりに移行していく可能性が高くなります。

長期化する前に、そしてできるだけ年齢が若いうちに新たな段階に向かえるよう、まずは親御さんご自身が早めに支援機関とつながることをお勧めしております。

3月23日(火)より、「コロナストレスに負けない! 認知行動療法講座」(オンライン)が始まります。
長引くコロナウィルスの影響で、気分が落ち込んだり、イライラしたり、不安が高まったりという方も少なくないのではないでしょうか。

増える小中高生の自殺

子どものSOS
子どものSOS

コロナストレスの影響は、子どもたちの間にも広まっています。
2020年(令和2年)に自殺した小中高生は過去最多の479人にのぼります(2021年2月15日、文部科学省が児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議で公表)。

月別では、8月64人、9月53人、11月48人、6月45人で、一斉休校が終わり学校が再開した6月と夏休み明けの8月、そして11月は、前年同月と比べて2倍以上です。

原因として最も多いのは「進路の悩み」で、次いで「学業不振」、「親子関係の不和」。大幅に増えた女子高生をみると、「病気の悩み・影響」の『うつ病』が最も多く、次いで「その他進路に関する悩み」、「病気の悩み・影響」の『その他の精神疾患』となります。

漠然とした不安を抱える子どもたち

こうした統計上の数字を、カウンセリングの場に重ねてみると、「一斉休校だったからなかなか仲のいい友達ができない」「なんとなくクラスに一体感が無く、なじめない」などのご相談が増えている印象があります

「『何かがあった』というわけではないけれど、どこか疎外感や孤独感を感じる」
「なんだかよく分からないけれど、とにかくいつも不安」

・・・そんな小中高生が、今までよりも多いような感覚があります。

心が安まらない子どもたち

学校が休校になったり、塾にも満足に通えなかったりするのに、試験や受験は通常通り追いかけてきます。先の見えないコロナ禍のなかでも、将来に向けた準備や落ちこぼれないため、ひとりで頑張らなければなりません

これでは子どもたちの心は休む間がありません。いえ、学校が休みの分だけ、勉強の成果や将来も「自助努力」に委ねられ、子どもたちはますます追い詰められます

周囲のおちなたちの「子どもには力を付けてもらい、将来、困らない備えをして欲しい」と願う親心が、逆に子どもを追い込んでしまうこともあります。

おとなのストレスは子どもに伝わる

何より、おとながストレスフルで、ギスギス、イライラしていたら、その空気は子どもたちに伝わります。
おとなの側が不安を抱えていては、子どもはもっと不安になります。

そんなことにならないためにも、CAFICのストレス対策講座などを利用して、ストレスを軽減し、ストレスとうまく付き合う方法を見つけてみてください。

発達障害という言葉は、ここ数年、ニュース等で取り上げられたり、著名人がカミングアウトしたりと、ずいぶん身近なものになってきたように感じます。

ですが、まだまだ誤解されがちな部分もありますし、「そうかもしれないけどどうしたらいいのだろう」というところで止まってしまっている、という方も多いように感じます。

そもそも発達障害とは

コミュニケーションが苦手である、こだわりが強い・感覚の過敏さがある、集中が続かず要領よく物事を進められない、といったお悩みが代表的なものとして挙げられます。

コミュニケーションの苦手さ・興味の幅が限定される等は自閉症スペクトラム(ASD)、注意散漫さはADHD(注意欠陥多動性障害)の方に多く見られる傾向です。
アスペルガー症候群という言葉も一般的に知られていますが、これは自閉症スペクトラムというカテゴリーに含まれていますので、ほぼ同意語と考えてよいかと思います。

発達障害の原因は?

かつて「自閉症は親の育て方が悪かったのではないか」という誤解がありましたが、最近は正しい理解がだいぶ広まってきたように感じます。
発達障害は、生まれつき持った特性であり、脳の一部の機能に障害があると考えられています。

ですので、発達障害は‘人生の途中で突然発症する’というものではないですし、逆に言いますと根本的な治癒をめざすものでもありません。
その特性を知り、その特性とともにどう日々を過ごすか、どうすればより良く過ごせるか、を考えていくことが重要です。

発達障害の診断

診断は、医師による問診・心理検査・その他の情報(お子さんの場合は保護者の方からの聞き取り等)を総合して行われます。
CAFICは医療機関ではありませんので診断はできませんが、前述の「心理検査」の部分を行うことができます。この検査がどういうものかについては、また別の機会にもう少し詳しくご説明したいと思います。

CAFICでおこなえる支援

お子様の場合は、発達特性があることによって集団生活での適応が難しくなりがちですし、養育される保護者の方の心身のご負担も重くなることが多いと言えます。

CAFICでは、検査だけでなく、保護者の方への心理的サポートや環境調整に関する助言(学校やその他機関とどう関わっていくべきか)等もおこなっています。

おとなの方の場合は、ご自身の特性を把握し、現在お困りの事柄についてどう対応していくか、カウンセリングを通してそのサポートをおこなう形になります。

大事なのは、検査の‘その後’――つまり「その方が自分らしく、よりストレスの少ない日々を過ごせるようになること」ではないでしょうか。

ペットロス(猫)

『いぬのきもち』(2021年2月号)で、ペットロスについてのインタビューを受けました。これをきっかけに、「ペットロス・看取り」のオンラインミーティングを準備しています。

CAFIC開設当初より、「ペットロス・看取り」のグループを行いたいという思いがありました。
「同じ空気、同じ空間のなかで共感し合える仲間と思いを共有する」ことが、カタルシス効果や癒やしを生むからです。

しかし、新型コロナウィルスの感染拡大が収まらず、人が集まるミーティングの開催は厳しい状況が続いています。
だからといって、オンラインでは「同じ空気、空間の共有」がどの程度できるのかと、二の足を踏んでいました。

同じ空気、空間を共有する『場』の大切さ

ペットロス(犬)

しかし、取材を受けたことで、そうした『場』の大切について改めて考え直しました。
私自身が、ペットロスの渦中にいたときのことを思い出したのです。

あの、「だれも自分の気持ちなど分かってくれる人はいない」という孤独感、「愛する者がこの世を去ったのに、世の中はなにひとつ変わること無く動いている」という失望感、「こんなに愛しているのに、もう二度と会えないのだ」という絶望感。

それは生きることを困難にするほど、圧倒的なものでした。

空気や空間の共有が難しい今だからこそ

また、老いて病気になったペットと闘病生活をしていたときのことも思い出しました。愛する者の生命の火が少しずつ消えていく・・・それなのにもはや見ていることしかできない無力感や、「もうすぐ自分は確実に愛する者を失う」という恐怖感がよみがえってきました。

愛する者に日々できないことが増えて行き、死へと向かってくことを実感せざるを得ない「小さな喪失体験」の積み重ねの毎日。それはまるで自分の手足を次第にもがれていくようなつらさでした。

コロナの影響で、空気や空間を共有することが難しい今だからこそ、その痛みを分かち合う『場』が必要だと改めて感じました。

人が亡くなったときには

人が亡くなったときには、お通夜やお葬式、四十九日や一周忌というように、故人をしのび、思い出や感情を共有するセレモニーとしての『場』が用意されます。

こうした『場』は、「愛する者の死」という受け入れがたい現実を受け入れるために役立ちます。そこで、故人について語り、自分の思いを聴いてもらい、心も少しずつ整理されていきます。

「やり残したこと」「やってあげたかったこと」「やってあげられなかったこと」などを言葉にすることで、罪悪感は軽くなります。
日頃はこらえていた涙を流すことで後悔の念は薄まっていきます。感情に共感してもらうことで自分自身の気持ちを受け入れやすくなり、孤独感から解放されていきます。

コロナの渦中でも

ミーティングでは、一対一のカウンセリングとはまたちがう、グループ・ダイナミックスが働きます。人はグループから影響を受け、グルーにも影響を与えていきます。

今後、「ペットロス・看取り」以外にも、オンラインを使ったミーティングを順次、増やしていく予定です。

コロナの渦中にあっても、もできることを少しずつ探していきたいと思います。

ペットロスについてさらに知る

小学校や中学校でおこなわれているスクールカウンセリングや、自治体の教育委員会が運営している教育相談センター(名称は地域によって異なります)。
これらとCAFICのような民間の心理相談機関は、何が違うのか、どう選ぶべきか、について考えてみたいと思います。

教育相談とは?

対応できる相談内容は、どの機関でもさほど差はないかと思いますが、それぞれに得意分野はあります。

まず、学校校内でおこなうスクールカウンセリングは、学校内でのトラブル(友人関係など)や学校の先生たちに対応を考えてもらいたいと思うような事案(たとえば登校渋りや不登校など)に関して、カウンセラー経由で学校側とやりとりできる、というのが最大のメリットです。
カウンセラーと先生たちが校内で上手に連携を図ってくれるようであれば、そこに効果が期待できます。

教育相談センターは、発達に関する検査をおこなっていることが多いですが、希望者が多いため、学校で特別支援教育を受けることを検討されている方など必要性が高い方に限定しておこなっている自治体が首都圏では一般的です。そのほかに、お子様と保護者の方を対象とした心理相談全般もおこなっています。

厚生労働省は、全国の児童相談所に今年1~6月に寄せられた虐待相談の対応件数(速報値)をまとめました。9万8814件(2020年9月30日)で、前年同時期と比べて8948件(10%)増えたものの、緊急事態宣言が出された4月から増加率が鈍化しているそうです。
コロナの影響で親子ともに自宅で過ごす時間が増え、虐待の増加が懸念されていたのは取り越し苦労だった・・・と安心したいところですが、「学校の休校などで虐待が見つかりにくくなっている」(同省)そうです。

虐待の数字を押し上げる夫婦の面前DV

面前DV

コロナのなか虐待が増えたのか減ったのか・・・本当のところはわかりません。

しかし、昨今の虐待統計を見ていると、子どもの目の前で激しい夫婦げんか(DV含む)が行われる「面前DV」が、心理的虐待の数字を押し上げていることは事実のようです。外出が減り、家の中で顔を合わせる時間が長くなればイライラや葛藤場面が増えること。平たく言えば「相手の嫌なところが目に付きやすくなり、けんかが増える」ことは、容易に推測できます。

実際、ご相談のなかでも、「コロナで家にいることが多くなって配偶者やパートナーに対しての不満が増えた」とおっしゃる方は少なくありません。

医療機関

心身の不調や困り事が出てきたときに、どこに出向くのが一番よいのか、迷われる方も多いことかと思います。
そのような場合のご参考まで、まとめてみました。

まず、身体の不調がはっきりとある場合は、医療機関で内科的な疾患がないかどうかを診てもらうことを第一に考えても良いかもしれません。
その上で、「これといった疾患はないけれど、やはり不調が続く」「お医者さんにストレスを指摘された」という場合は、改めて精神科・心療内科か心理相談機関かを検討してみてはいかがでしょうか。

病院?それともカウンセリング?

精神科・心療内科と、心理相談機関との最も大きな違いは、薬による処方がなされるかどうか、です。ですので、たとえば「仕事になんとか行けるように、まず不眠をどうにかしたい」ですとか、「不安がつのってしまってつらいので、薬での治療を試してみたい」という方は、まず医療機関を受診して、医師に相談してみることをお勧めします。
中には、精神科の薬を飲むことには気持ちの面で抵抗がある、という方もいらっしゃるかと思いますが、そのような方も一度医師に相談して、心身がどのような状態にあるのか、聞いてみてもよいかもしれません。

「愛」という名のやさしい暴力

9月17日に、『「愛」という名のやさしい暴力』(扶桑社)が出版されました。『すべての罪悪感は無用です』に続く、精神科医・斎藤学先生の名言集&その解説の第二弾です。

『罪悪感は無用です』同様、機能不全家族で育った人たちの「生きづらさ」に焦点を当てていることは同じですが、強いて言うなら、同書はそのなかでも共依存を中心とする「家族の『「愛」という名のやさしい暴力』問題」、「女らしさ」や「男らしさ」などの「らしさの病」に関する名言が多い、と言えるかもしれません。

虐待とは「子どもの濫用」

同書の構成に携わりながら、改めて「虐待とはなんぞや」と考えました。斎藤先生によれば、それは「子どもの濫用」ということにあたります。

殴ったり、蹴ったり、世話をしなかったり、性的に搾取するというような、ある意味“積極的”な行為だけではなく、破綻した夫婦仲の“かすがい”にしようとしたり、親の虚栄心を満たす存在に育てあげようとしたり、親の期待を過剰に押しつけることも、「子どもの濫用」であり、虐待である、ということです。