共同親権導入は大転換?(1)

2024年3月30日相談室ブログ,夫婦の問題離婚面会交流

離婚した後も、父母の両方が親権者となる「共同親権」を認める民法などの改正案が3月8日に国会に提出されました。成立すれば、すでに離婚している夫婦も、共同親権を選べるようになり、「単独親権制度からの大きな転換」と言われています。

共同親権に反対する4つの理由

しかし相変わらず共同親権導入には反対の意見が根強くあります。その主な理由は下記の4点に絞られるようです。

①ドメスティックバイオレンス(DV)や虐待の被害者が加害者(別居親)から逃れられなくなる(影響を受け続ける)
②子どもに関わる重要事項の決定や判断時に、合意をすることが難しくなる
③主たる監護親(もしくは親権者両方)の転居や引っ越しが制限される
④今の制度でも共同養育はできる

一見「なるほど」と思うけど

いずれも一見、「なるほど」という感じがします。でも、現実に即して考えるとどれも疑問があります。

たとえば④。もちろん今の制度でも父母が冷静に話し合って、合意できれば共同養育はできます。しかし、それができないカップルが圧倒的に多いのです。

だからこそ、別居親と子どもが会えないケースが4割を超え(「法制審議会家族法制部会参考資料」)、再婚の有無にかかわらず、離婚後6年を経過すると面会交流はほぼ消滅してしまうという結果になるのでしょう(『協議離婚に関する実態調査結果の概要 法務省受託』日本加除出版社)。

大切なのは距離や回数ではない

③については、子どものために、一定度の転居や引っ越しが制限されるのがそれほど問題でしょうか? むしろ婚姻中の夫婦が、親都合での引っ越しや単身赴任などを当然としてきたことの方が不思議です。

それに両方の親が必ず近所に住み、定期的に別居親とも合わなければ親子関係が途絶えるとも言い切れません。
私は、通常は関東に住む同居親と暮らし、別居親が関東に出張に来たときや長い休みのときに会うだけでも、子どもと別居親が良い親子関係を維持出来ているケースを知っています(『子どもが幸せになるための、別居・離婚・面会交流のすべて』(自由国民社)。

大事なのは、距離や回数ではありません。離婚した両親が「どちらの親も子どもに取っては大切」という意識と姿勢を保ち、子どもが別居親とも会い続けることができるよう、努力できるかどうかなのです。

Posted by CAFIC池袋