諸外国の人々に比べ、日本人の睡眠時間は短いと言われ、「睡眠負債」という言葉もあるくらいです。
そんな睡眠負債を抱えたおとなと暮らしている子どもも、その影響を受けずにはいられません。
たとえば、日本の乳幼児の就寝時刻の遅さを示す調査結果があります。なんと47%が、22時以降に眠るというのです(『東京新聞』24年8月6日)。
厚労省の「睡眠指針」
10年ぶりに厚生労働省が改定した「睡眠指針」は、小学生は9~12時間、中学生は8~10時間の睡眠が目安としています(『朝日新聞』24年4月22日)。
が、実際はどうでしょう。みなさんの周囲を見回してみても、こんなに眠れている子どもはあまり見かけないのではないでしょうか。
今、子どもたちは本当に忙しく暮らしています。1日の大半を学校で過ごし、帰宅後はたくさんの宿題をこなし、塾や習い事もかけもちしていたりします。
息抜きにちょっとゲームをやったり、Youtubeを見ようものなら、もう深夜です。
睡眠は脳の成長に不可欠
睡眠はおとなにも重要なものですが、子どもにはなおさらです。脳の成長に不可欠だからです。
睡眠中に分泌する成長ホルモンは、骨や筋肉の発達、免疫力の向上、傷ついた細胞の修復などを行います。
ところが、睡眠不足になると、成長ホルモンやメラトニンが分泌しにくくなります。
免疫力が低下するので、風邪をひきやすいなど、病気にかかりやすくなり、治癒も遅れます。
前頭葉の働きが低下するため、やる気や注意力が落ちたり、落ち着きが無くなったり、キレやすくなったりもします。記憶を司る「海馬」の大きさは、寝不足気味の子ほど小さくなるとも言われています
しっかり眠って成績アップ
生活の流れを変えるのはそう簡単にはいきまませんが、「睡眠は大事!」と肝に銘じるだけでも、違ってきます。
少なくとも「睡眠時間を削って勉強する」のはコスパの悪い選択です。まずはゆっくり眠ること。それが前頭葉の機能を活性化させ、成績を上げることにもつながります。