相談室ブログ,心理療法カウンセリング

「対話型AI(ChatGPT)に相談している」という話をよく聞くようになりました。私自身も、日常のちょっとした疑問をAIに尋ねることはよくあります。
CAFICに新規で来られるクライエントさんには、「AIに勧められた」という方も少なくありません。

今年5月には、「自宅で長女(18歳)に暴力を振るった」として逮捕されたプロ野球・巨人の阿部慎之助前監督の長女が、「対話型AI(ChatGPT)に相談した結果、児童相談所(児相)に匿名で通報することを助言された」という報道が話題になり、「AIとの付き合い方」をめぐって様々な声が上がりました。

まるでカウンセリングのよう

クライエントさんの中には、ChatGPTが普及し始めた頃から「AIに話を聴いてもらっている」という方もいらっしゃいました。
その頃は、まだAIを使うということ事態が珍しかったので、とても驚きました。

「だれにも秘密を漏らさないから安心して何でも話せる。いつも共感して前向きな助言をくれる」(クライエントさん)と聞き、「まるでカウンセリングみたいだなぁ」と思ったのを覚えています。

AIが出すのは「一般的な解」

しかし、AIに相談したというクライエントさんたちの話を聴いているうちに、「やはりAIへの相談はカウンセリングと違うのだ」と、考えるようになりました。

AIは、大量なデータから自分で規則性やパターンを見つけて知識を増やし、それらを集約して回答を出します。当然ながらそれは広く世の中に流布された「一般的な解」です。

でも人間はひとり一人違います。だからカウンセリングでは、クライエントさんが「自分だけの解」にたどり着けるよう、お手伝いします。

「自分だけの解」に行き着くためには

そんな「自分だけの解」に行き着くためには、クライエントさん自身が気付いていなかったり、気付くことをためらっていたりする考えや思い、価値観、どこかに置き忘れてきてしまった感情などにアクセスすることがとても重要です。

それらを見つけるためには、記憶の底に沈んでいる記憶や、すっかり過去のものになったはずの生い立ち、知らずに親から受け継いだ対人パターンなどを掘り下げていく必要も生じます。

そうしたものたちは、無意識の中に閉じ込められ、心の深い部分に沈んでいることが大半ですから、クライエントさん自らが拾い出し、AIに伝えることは困難です。

もちろん賢明なAIですから、クライエントさんが見逃している背景や、語られない思い、個別の体験などは、ある程度は推測するでしょう。しかし、残念ながら、それらもやはり一般的な読み取りの域を出ることはないでしょう。

AIには人格や感情が無いわけですから、カウンセリングを左右する人間観や世界観も持ち得ません。

AIの言うことを鵜呑みにしない

私もAI相談のすべてを否定はしません。行き詰まったときにAIに聴いてもらうことは有効ですし、心を軽くしたり、状況や思考の整理には、うんと役立つはずです。

とはいえ、AIの回答(解答)やAIが指摘する無意識の中身は、「あくまでも一般的なものである」という前提を忘れないことが大事ではないでしょうか。

少なくとも「AIがこう言ってたから」と、それを鵜呑みにして、自らの人生の選択や決定をすることは危険だと、知っておくべきでしょう。

相談室ブログ,心理療法カウンセリング

カウンセリングを受けて気持ちがラクになる・心身の不調が回復する――「でも、それってどうやって?どんなふうに?」という疑問は多くの方にあるのではないでしょうか。今回はカウンセリングを受けた相談者側の方の実体験を、繊細な感性と描写力でまとめられた貴重な一冊をご紹介したいと思います。

希死念慮はどこから?

「死ぬまで生きる日記」土門蘭さん著(生きのびるブックス)。
著者の方は、日常生活は送れているものの、子どもの頃から「死にたい」気持ちが消えず、不眠や涙が止まらなくなる等、いわゆる鬱っぽい症状が継続していたことから、カウンセリングを受けることに。

2年間、カウンセラーとの対話を通して「死にたい」気持ちの背景を丁寧に掘り下げていきます。
生まれ育った家庭での満たされなかった思いや考え方のクセなど、どのようにカウンセリングの中で取り扱い、また、相談以外の時間を通してどのような気持ちや行動の変化が生まれていくのか、どのように‘回復’していくのか、実体験ならではの臨場感あふれる記録となっています。

カウンセリングの実際

専門職の立場からすると、この作品に出てくるカウンセラーの方(仮名で「本田さん」)の進め方についてもとても興味深いものがあります。文章中に認知行動療法のテクニックがいくつか出てきますが、心理相談全体としては複数の心理療法を適宜ミックスして使っておられ、その中の一つが認知行動療法、という折衷派の方であるようにお見受けします。それに加え、本田さんという方個人のオリジナリティも加わり、相談者の方に寄り添うスタイルがとてもステキだなぁと感じ入りました。

カウンセラーがどのような手法やスタイルで進めて行くかは一人一人で異なりますし、何が正解というのがはっきりあるわけではないので、「こちらの相談室で本田さんと同じようなカウンセリングを受けられますか?」と聞かれると困ってしまうのですが、心理相談に興味がある方、そしてネガティブな感情の渦から一歩踏み出したい方にも、ぜひお勧めしたい一冊です。

Posted by 梶原真弓

相談室ブログ,心理療法カウンセリング

心理相談の場で用いられる手法を心理療法と言い、数え切れないほどたくさんの種類があるのですが、今もっとも世の中で知られているのは認知行動療法かもしれません。
うつや不安を軽減させる効果や、パニック障害や強迫症状の治療など、幅広く活用されています。

認知行動療法は自分でできる?

品揃え豊富な書店の「心理」本棚には、‘自分でできる認知行動療法’というようなタイトルの書き込み式ワークブックがたくさん並んでいます。こちらの相談室にいらっしゃる方から「少しでもラクになれればと思ってやってみた」というお話を伺うことも珍しくありません。

ですが、「やってみて効果が感じられた」とおっしゃる方は、(あくまで私個人の感覚ですが)全体の数割程度でしょうか。半数以上の方が「途中でやめてしまった」「進め方が合っているのかわからず、意欲が続かなかった」という結果のような印象です。

もっとも、見方を変えれば、「ワークブックで効果があったから、カウンセリングを利用する必要がなかった」という方もいらっしゃるとは思いますが。

‘自分を客観視’は難しい

認知行動療法は、簡単に言いますと「自分の考え方のクセと行動をふりかえり、見直していく」という手法です。多くのワークブックがこのような構成になっています。

①思考を書き出す(認知の整理)
②考えのクセをチェック
③別の見方を探す(認知の再検討)
④小さな行動を変容させていく

この手続きを進めるときに、「自分のことを客観的に捉えられる」ということが前提になっています。これが簡単なようでなかなか難しいように思います。

うつ傾向にあったり、不安が強い状態にある方が「客観視すること」や「バランスの取れた考えを探す」ことを求められるのは、至難の業とも言えます。

第三者の視点を借りる

セルフ認知行動療法が行き詰まりそうなときには、カウンセラーという第三者に傍で伴走してもらうのをお勧めします。
一人で考えているとぐるぐるとマイナス思考にはまってしまいがちですが、それを少し引いた視点から見ている人がいることで、自己否定の沼にはまらずに済んだり、進むべき方向が見えてきたりするのです。

ご自身で本を使って試してみたが、うまくいかなかった、という方が「認知行動療法は自分には合わない」と決めつけてしまうのは、カウンセラー側からすると「もったいないなぁ」という感じがすることがあります。
もちろん、これだけがカウンセリングの進め方ではありませんし、実際に他の手法のほうがしっくりくる方もいらっしゃいます。

セルフの心理療法がうまくいかなかった場合も、是非がっかりなさらずに、どのような進め方があるのか、担当カウンセラーとお話し合いされてみてはいかがでしょうか。

相談室ブログ,心理療法カウンセリング

メンタル不調のために休職・離職された方の心理サポートについて、前々回の記事でご案内させていただきました。今回はその内容と進め方について、もう少し詳しくご説明させていただきます。

リワーク・カウンセリングでできること

初回のご相談の際に、今までの経過と現在不安に思っていらっしゃること・カウンセリングへのご希望をお伺いし、実際の内容を決めていきます。

こちらで提供できるのは、以下のようなメニューになります。

・心理検査(性格傾向を客観的にふりかえる)
・認知行動療法を用いてより適応的な考え方を身につける
・対人関係のふりかえりとアサーション(適切な自己主張を身につける)
・ストレス対処法について考える

集団プログラムとの違い

①内容は相談者様に合わせて完全カスタマイズです。上記に挙げているメニューで興味のないもの・必要ないと思われるものはパスしていただいて結構です。

また、上記以外に「メンタル不調が以前から慢性的に続いていた」「仕事そのものでなく、プライベートな問題のストレスで体調を崩した」等のご事情がある方も、個人カウンセリングですので遠慮なくご相談いただけます。

②復職してから通常業務に戻るまでのいわゆるリハビリ期間(数ヶ月~半年程度)のフォローアップもおこなっています。週末も対応しておりますし、平日のお仕事の合間にオンラインでご利用いただくことも可能です。

実際の進め方

オンライン(ZOOM)でのカウンセリングもおこなっておりますが、可能でしたら相談室にお越しいただき、対面で受けられることをお勧めしております。

休職中は他者との接触が少なくなりがちですので、直接コミュニケーションを取ること自体にも意味があるかと思いますし、定期的に外出するきっかけにもなります。

また、心理検査をおこなったり、ワークシートを使って認知行動療法をおこなう等、オンラインでは対応できない内容も一部あります。

カウンセリングをおこなう頻度はこちらでは指定はしておりませんが、2~3週に1回くらいを目安にお越しいただくことをお勧めしております。

復職後のサポート期間は、徐々に間隔を空けて(2~3週ごと→4~5週ごと→2ヶ月に1回‥など)ご利用いただくのもよろしいかと思います。

初めの2回は専門相談として割引料金で受けていただくことができます。「リワーク(復職支援)カウンセリング」のページをスクロールしていただくと下部に申し込みフォームがございます。どうぞお気軽にご相談ください。

Posted by 梶原真弓

相談室ブログ,心理療法カウンセリング

現代社会で働く世代のメンタル不調は珍しいものではありません。精神科や心療内科に通院しながら働く方も少なくないですし、中にはやむを得ず休職、もしくは離職される方もいらっしゃいます。

休職する際に所属先の手続きのために医療機関を受診して診断書をもらう、というのは事務的に必要な流れですが、その先の復職までをどうするか。病院で処方される薬だけで良くなるのか、数分~10分程度の医師の診察(初診を除くと一般的な診察時間はこのくらいです)を継続するだけで回復するのか等々、‘お休み中の過ごし方’や‘回復のめざし方’に悩まれる方も多いようです。

リワークとは

リワークとは、精神的な不調やストレスなどで休職した人が、職場復帰を目指すためのリハビリ的なプログラムを指しています。精神科や心療内科などの医療機関でそのようなプログラムを提供しているところもありますし、民間企業やNPOなどが運営する機関も増えてきています。
プログラムの内容は、機関によって異なりますが、体調管理や心理教育、作業訓練(パソコン入力や読書など)、対人訓練(グループディスカッションなど)が挙げられます。

リワークと心理支援

休職・離職に至るまでの経過や置かれている環境は人それぞれ、問題も各々異なっています。ご自身の心身のコンディションをふりかえり、なぜそうなってしまったのか、繰り返さないためにどうしたらよいのか、といった心理面について掘り下げて考えておくことは、再度の休職を避けるためにも非常に重要です。

リワークプログラムでも個人面談の機会が設けられていますが、あくまで「どうすればまた働けるか」という点に焦点化しており、利用者個人のメンタル不調の改善そのものを目指すというわけではなかったり、人間関係の持ち方・コミュニケーションについてじっくりと話し合う、というところまでは至らないことも多いようです。

個人カウンセリングは必要?

このようなお悩み・ご希望がある方はカウンセリングをご検討いただくとよいかと思います。

①メンタル不調が一時的なものというよりは中長期間にわたり継続している場合
②今現在置かれている環境や人間関係などプライベートでのお悩みがあり、結果として休職・離職せざるを得なかった
③この機会に自分の性格や考え方の傾向・対人関係の持ち方についてじっくり考えたい・見直したい

個人カウンセリングを通して、ご自身の心理的な課題や、休職の背景にある‘そもそもの問題’に無理のない範囲で向き合う、あるいは対処法を考えていくことが、メンタル面の根本からの回復につながります。

カウンセリングは服薬治療や集団でのリワークプログラムとの併用も可能です。通院中の方は、医師にあらかじめ相談の上、カウンセリングを開始されることをお勧めしております。
個人カウンセリングを通してのリワーク支援について、詳しくはまた機会を改めてご紹介させていただきます。ご興味をお持ちの方はお気軽にお問い合わせください。

Posted by 梶原真弓

相談室ブログ,心理療法カウンセリング

前々回の記事で、性格傾向を測る検査3種類をご紹介しました。
今回はさらにこちらの相談室で実施可能な2種類について説明させていただきます。

Y-G性格検査

チェックリストタイプの検査で、性格を構成する12の因子の強弱を測定します。
以前の記事でご紹介したTEGも同じチェックリストタイプですが、Y-Gのほうが質問項目数が多いため、より幅広く情報を得ることができます。

こちらは相談の時間内もしくはご自宅で実施していただき、その次にお越しいただいた際に、書面にて結果をお渡しし、フィードバックをおこなっています。
検査用紙代および結果書面の作成費用としまして通常の相談料金に加えて2,200円を頂戴しております。

親子関係検査

小中学生のお子さんとその親御さんを対象とした検査です。日頃の親子間の関わり方にどのような傾向があるか、客観的に知ることができます。

家族間のコミュニケーションは、日常のこと・あたりまえのことであるが故に、何が問題で、どう変えていけば事態が改善するのか、ご自身ではわかりにくいことも多々あります。そのようなときに新たな視点を得る一助になるのではないかと思います。

親子それぞれの実施は3,300円、親御さんのみの実施は2,200円となります。

こちらも実施後の次のセッションにて書面にて結果をお渡しし、フィードバックと助言をさせていただきます。

そもそも心理検査とは

心理相談機関や医療機関で実施している心理検査は、楽しむことを目的として作られた心理テストとは異なり、心理学の理論に基づいて作成され、‘測定したい事柄がきちんと結果に反映されているか’という専門家による検証の段階を経て、現場で活用されています。

「検査結果が100%絶対に正しい」ということではありませんが、自己理解を深めるため、またはお悩みの解決のために活用できる部分もあるかと思います。

興味をお持ちの方は、担当カウンセラーまでお気軽におたずねください。

Posted by 梶原真弓

相談室ブログ,心理療法カウンセリング

自己理解のための心理検査①

心理検査は、性格検査と知能検査という2つのカテゴリーに分けられます。
知能検査は知能指数(IQ)を測るためだけでなく、発達特性を把握する、つまり生まれ持った得意・不得意を把握する、という目的で近年多用されるようになっています。
知能検査については、以前ご説明していますので、こちらをご覧ください。

今回は、性格傾向を測る検査をいくつかご紹介させていただきます。

TEG(エゴグラム)

チェックリストタイプの検査で、性格傾向を5つの指標から知ることができます。

元々アメリカで開発された検査で、TEGはその日本語版です。精神科・心療内科などの医療機関だけでなく、学校・企業での自己理解を深めるための研修など、さまざまな場で広く用いられています。

10分程度で実施できるので、通常のご相談の時間内でも気軽に取り組んでいただけます(お持ち帰りいただき自宅で実施後、次のご予約の際に持参でも可)。

FIT(フィット)

家族関係についてお悩みの方にお勧めの検査です。家族の複数のメンバーに問題があり、何から取り組んでいけばよいのか考えたいときや、長期の不登校や引きこもり等を抱える家族に、他の家族がどう関わっていくべきか考えたいとき、等に適しています。

実施後にカウンセラーとの振り返りを通して家族のメンバー同士の関係性を客観的に捉え直し、よりよい家族の在り方を考えることで、状況の改善を目指します。

SCT(文章完成テスト)

所定の検査用紙に文章を書き込んでいただくタイプの検査です。性格傾向や価値観、自分自身の過去や現在・未来をどう捉えているか、対人関係の持ち方などを広く測ることができます。
実施には個人差がありますが30~60分程度かかりますので、ご自宅で記入後にご持参いただく形がお勧めです。

今回ご紹介の3つの検査は、通常のご相談料金の中で実施可能です。興味をお持ちの方は担当カウンセラーまでお気軽にご相談ください。

Posted by 梶原真弓

相談室ブログ,心理療法カウンセリング

「しばらく子どもと会えずにいたら、『もう一生(パパもしくはママと)会いたくない』と言われた」

「配偶者が連れ去った子どもと久々に面会することになったが、どのような対応をしたらよいか」

「ずっと一緒に暮らしていなかった子どもと同居することになりそうで戸惑っている」

そんなお悩みに応えるべく、「CAFIC親子再統合プログラム」をつくりました。

「子どもの権利条約」をベースにしたプログラム

同プラグラムの最大の特徴は、子どもの成長発達のための国際的な約束事である「子どもの権利条約」をベースにしていること。もう少しだけ補足すると、「自然な環境としての家庭(実父母)による愛情と幸福と理解のある環境」(条約前文)を子どもが持てるよう援助するプログラムになっていることです。

実父母は子どもにとって「自分を自分たらしめる欠かせない存在」であり、自分の一部です。だからこそ子どもが調和の取れた人格へと成長発達(条約前文)するには、「両親に愛され、望まれて生まれてきた」という確信が必要です。

ところが、そんな単純かつ明快なことが、今の世の中ではなかな実現できずにいます。

間違った「子どもの意見表明」の扱い

とくにやっかいなのが「子どもの意見表明」の間違った扱いです。

2022年に成立したこども基本法に子どもの意見表明機会の確保・こどもの意見の尊重が基本理念として掲げられてからというもの、「子どもの意見を大事にしよう!」「子どもの意思を尊重せねば!」と、離婚や同居、子どもがどこで暮らすかなどについても、子どもの意見が最優先だとする考えが広まっています。

例えば、子どもが「別居親に会いたくない」という拒否意思を示せば、「別居親と会わなくてよい」と判断してしまう、というようなことが起きているのです。

しかし、これは子どもの権利条約の「意見表明権」(第12条)を大きく取り違えていると言わざるを得ません。

条約がいう「意見表明権」とは

「子どもが意思決定した内容そのもの」の実現が意見表明権の尊重にあたると考えるのは間違いです。

子どもは、今できる精一杯のやり方で身近なおとなへの呼びかけ(泣く、黙る、暴れる等の欲求も含む愛着行動)ます。こうして表された子どもの思いや願いをおとながきちんと受け止め、応えることで、そこに子どもの成長発達のベースとなる人間関係を子ども自身がつくることを保障すること。それが意見表明権の尊重なのです。

もし、子どもが片方の親を拒否しているとしたら、その子どもの気持ちを受け止めつつ、「どうしたら拒否感が和らぎ、両方の親と良い関係を築けるか」を周囲のおとなが真摯に考え、対策を講じていくことです。

子どもにとって両親はいずれも、唯一無二の存在であり、自分の半身です。そんな大切な親を切り捨て、否定するという残酷な人生を子どもが歩むことのないよう、できる限りのサポートをしていきたいと考えております。          posted by木附千晶

相談室ブログ,心理療法カウンセリング

以前、こちらで‘身近な人が怒っているときの対応の仕方’について書かせていただきました(こちらをご参照ください)。

その中で、「怒りのぶつけあいは長い時間しないほうがよい」と書いたのですが、「話し合いをやめようとしても相手がそれを許してくれない」「逃げるのか!と相手に言われてしまってその場を去れない」といった状況でお困りの方もいらっしゃるかもしれません。

怒りに巻き込まれないために

怒りの感情を爆発させている相手に対して、「これ以上話しても無理そうだ」と思った場合、まずは
「今の怒っているあなたとはこれ以上話せない」
「落ち着いているときに改めて話そう」
という旨を淡々と伝えます。
そして、相手がその言葉に同意していなくても、相手が怒り続けていても、物理的な距離を取りましょう。

相手との距離の取り方

夫婦や親子など、身近な関係の間で激しい怒りを爆発させる場合、場所は自宅であることが多いかと思います。可能であれば、数十分~数時間ほど家を離れて、一旦クールダウンの時間を取れるとよいでしょう。

ですが、時間帯が夜であったり、お子さんを家に置いていけなかったり、その他さまざまな状況で家を離れられない方もいらっしゃるかと思います。そのような場合は、家の中でも別の部屋に移動したり、ひとまずお風呂に入る等して、物理的な距離を取るようにします。

‘怒り’を伴わない会話をめざす

改めて話し合うときには、相手を責める言葉でなく、「私はこういうことを伝えたかった」と自分を主語にして相手に伝えるようにしてみましょう。
そして、話し合いができそうであれば、「どの点について折り合いたいと考えているか」ということを意識しながら、すなわち、話し合いの目的を見失って‘責め合い’にならないよう気をつけながら、進めていけるとよいでしょう。

家庭内でいったん定着したコミュニケーションのパターンは急には変わらないかもしれません。が、‘怒りのぶつけあいには応じない’姿勢を繰り返し見せていくことで、相手に変化があるかどうか、まずは試してみてはいかがでしょうか。

なかなか状況が改善しない、あるいは状況がもっと複雑である、といった場合には、カウンセラーなど第三者に相談されることをお勧めします。

相談室ブログ,心理療法カウンセリング

身近ではあるけれど、ときに扱いにくく、厄介なのが‘怒り’の感情です。
自分自身の怒りをどうコントロールするかという‘アンガーマネジメント’という言葉も近年一般的になってきたように感じます。

それも一つの大きなテーマですが、ここでは、自分ではなく、「身近な他者の怒りをどうするか」について考えてみたいと思います。

他者の怒りに接したとき

多くの方が、怒っている人を目の当たりにしたとき、「この人はなぜ怒っているんだろう」と想像をめぐらせたり、相手に直接たずねたりして、原因がわかればその原因の解決・解消に努めることでしょう。

ですが、これがスムーズにいかないときも現実では多々あります。
相手が感情的になるばかりで結局原因がはっきりしないとか、原因がそう簡単には解決しなさそうな事柄である、等々。

そうすると、この感情が衝突する場面は何度も繰り返されることになり、より関係がこじれたり、精神的に疲れ果ててしまったり、とあまり良い展開にはなりません。

身近な関係の中での‘怒り’

‘怒り’には強い力があって、相手の人を傷つけたり疲弊させたりします。ですので、より強い怒りを発した側が、相手の人の主体的に考える力を奪ってしまったり、精神的に弱らせてしまうような状況を引き起こします。

一方の怒りの強さに相手が巻き込まれてしまう状態――これが夫婦・パートナー間だと‘DV’と言われる状態ですし、荒れているお子さんに親御さんが振り回されてしまう状況ですと‘家庭内暴力’と呼ばれます。

対応のコツは‘怒りに巻き込まれない’

怒っている人と「これ以上話しても無理そうだな」と思ったときは、あまり長い時間やり合わないようにすることをお勧めしています。
話し合い自体はもちろん必要なことはあると思いますが、結論が出ないような‘怒りの感情のぶつけ合い’を長時間することにメリットはありません。目安として30分以内、長くても1時間程度で切り上げるほうが良いように思います。

「怒っている人との話し合いを切り上げるだけでも大変」というケースもあるかと思いますので、その点についてはまた別の機会に書いてみたいと思います。

カウンセラーへのご質問、ご相談のお申し込みは、「お問い合わせ」フォームまたは「新規ユーザー登録」よりお気軽にご連絡くださいませ。