長い夏休みが終わり、学校がスタートしました。
この夏休み明けは、1年でもっとも不登校が増えやすい時期です。(ちなみにもう一つの増えやすい時期は5月のゴールデンウィーク明けです。)

突然お子さんが「学校行きたくない」と言うパターンもあれば、登校前に体調が悪くなって「とりあえずお休みしておこうか」となり、それが続いて不登校になるパターンも多くあります。

不登校初期の関わり方

体調不良の場合は、朝は無理させず、遅刻して行く・つらかったら早退してもいいと伝えておく等、柔軟な対応をしながら、様子を見ていきましょう。

「行きたくない」宣言の場合は、

「学校行きたくないなんてわがままな!大人だって仕事行きたくなくても行っているんだよ」

といった諭し・お説教をついついしたくなってしまいますが、それでお子さんが

「そうか、自分のわがままなのか、じゃあがんばって行こう」

とはならないことがほとんどだと思います。

まずは、なぜ行きたくないのか、丁寧に話を聞いてあげましょう。
大人にとっては「なーんだ、そんなことか」という話であったとしても、まずは否定せず、「そうか、それが嫌なんだね」「それが何とかなれば学校行けそうかな?」と聞いてあげてください。

登校刺激は良いのか悪いのか?

学校に行くよう促すことを登校刺激と言います。
多くの不登校対応の情報では「無理させない」「刺激しすぎない」のがコツと書いてありますが、ほとんどの保護者の方は、「本当に本人の好きにさせておいていいんだろうか」と不安に思われることかと思います。

不登校のごく初期の段階では、「今日一日がんばってみなよ」「行ってみたら大丈夫かもよ?」と励まして登校を促すような対応をするのは一般的なことですし、これが大きな誤りであるとは思いません。
ですが、数週間経っても、1〜2ヶ月経っても状況が変わらない、あるいは悪化していっている(どんどん学校から遠ざかっている・お子さんの調子が悪くなっている)という場合は、対応を変えていく必要があります。

登校刺激はほどほどにしつつ、でも登校をあきらめるわけではない。その対応が難しいところです。
また回を改めて、この先の段階について書きたいと思います。

今現在お困りの方は、相談室までお気軽にお問い合わせください。

「思春期・不登校に関する相談」はこちらのサイトをご覧ください。

あらゆる喪失体験に共通することですが、ペットロスを長引かせる大きな要因は「後悔」です。

もちろん、どんなに精一杯手を尽くしたとしても、やれるだけのことをやったとしても、「これで十分」とはなかなか思えません。
愛する伴侶動物を見送った直後は、みんなそうです。

「もし、こうしていたら」
「万が一、ああしなければ」

そうやって、選ばなかったもうひとつの選択肢や、やらなかったことの方に目が行ってしまい、自分を責め、後悔でいっぱいになります。

治療や看取りに思いを残している

看取りの過程でたくさん思いを残していると、こうした状況から抜け出しにくくなってしまうように感じています。たとえば次のような思いがあったりする場合です。

  • 「もっとこういう検査をして欲しい」とか「違う病気から生じている症状なのではないか」などと思いながらも、それを獣医師に伝えられなかった。
  • 動物病院の対応に疑問を感じながら、呑み込んでしまった。
  • 何よりも看護を優先してあげれば良かったのに、そうしなかった。

「後悔」を減らすために

カウンセリングにつながるは、多くの場合、伴侶動物を見送った後です。

しかし、実際にカウンセリングをさせていただいていて「看取りの過程をご一緒できていたら」と思うケースが多々あります。

言いたいのに呑み込んでいる思いや、獣医師に尋ねたいこと、どんな言葉で伝えたらいいか、日々の生活での優先順位などなどについて、「共に考えることができたら『後悔』を減らすお手伝いができたのでは」と思うのです。

看護しているときこそ

確かに看取りの最中は、物理的にも余裕が無く、だれかに相談するという考えが浮かばないのかもしれません。

でも、愛する我が子を、ひとりで看続けるのはとても孤独な作業です。ひとり「遠くない別れの予感」に怯えることは、言い知れぬほど不安です。

そんな私自身の経験も踏まえ、できれば愛する伴侶動物を看護しているときにこそカウンセリングをご利用していだけたらと、切に願っています。

都市部での中学受験熱は、少子化傾向と相反して加熱する一方であるように感じます。
中学受験を目指すご家庭が増えているのは、もちろんさまざまなメリットがあるから。ではあるのですが、お子さんの心の健康について関わる者としては、そのデメリットも気になるところです。

中学受験準備は低学年から?!

近年、受験を意識しての勉強をスタートする時期が早まっている印象です。
小学校低学年から学校の勉強だけでなく塾に通ったり、プラスαの課題に取り組んだり、そしてそれ以外の習い事もしていたり。
それを充実していると言うこともできるのでしょうが、やはり人生で一度きりの子ども時代。もう少しのびのびと子どもらしく、気楽に過ごさせてあげたいような気もしてしまうのです。

中には、
「うちの子は塾が好きで喜んで行っています」
「勉強も苦痛ではないようなので」
というご家庭もあるかと思うのですが、親御さんは日々どなりながら、お子さんは泣きながら‥というご家庭は、小学生の時期をどう過ごすか、今一度考えられてみてはいかがでしょうか。

中学受験とご家族の向き合い方

中学受験が終わったあとに息切れしてしまい、不登校になったり、情緒不安定や問題行動などメンタルの不調が関連すると思われる状態でお困りのお子さんを、カウンセラーという立場上、今までたくさん見てきました。

子ども時代にしっかりと遊び、‘楽しかった’と言える時間をたくさん過ごしていると、そのお子さんが、その後、思春期・青年期から社会人として自立するまでの、言わば激動の時期を、たくましく生き抜いていくエネルギーになります。

「‘勝ち組’にならないとこの子の人生、損してしまうのでは」という親心を決して否定するつもりはありませんし、アンチ中学受験主義、というわけでもありません。
ですが、中には、中学受験がお子さんの心身を不調に追いやってしまったり、受験をきっかけに親子関係がぎくしゃくしてしまい、後々に影響してしまったりすることもあります。

それぞれのご家庭で、そのお子様にあった教育環境や学習スタイルを考えてあげられると、そして無理のない・負荷のかかりすぎない適切な課題設定をしていけるとよいのかな、と感じる今日この頃です。

例年にない梅雨明けと酷暑が続いています。気になるのが、「子どものマスク着用」です。

街を歩いていると、修学前と思われる子どももほとんどがマスクをしています。もう少し、年齢が上がった子どもたちのも、部活の行き帰り、登下校の際など、明らかにひとりでいる場合でも、子どもたちがマスクを外している姿はほとんどみません。

「感染から身を守る」というよりも、「みんながマスクをしているのに、自分だけ外すのははばかられる」という空気を感じます。

就学前の子どもは不要のはず

厚生労働省は、 「人との距離が十分に確保できるとき、屋内でも会話がほとんど無い場合は着用の必要はない」。2歳以上、修学前の子どもについては、「他者との距離にかかわらず一律に着用は勧めない」(マスクの着用について)としています。

小さな子どもの発達への影響

とくに気になるのは、小さい子どもの発達への影響です。
「表情が乏しい」「発音・発達に問題を感じる」「人見知りをしなくなった」(『読売新聞』22年6月1日)などの、保育園での調査結果もあります

視覚野や聴覚野は就学前に発達します。他者の表情を見てまねることで、感情表現や共感能力を身につけます。おとなの口元を見てまねることで言葉を獲得し、身体接触は能を活性化させます(『日経新聞』22年6月6日)。

ところがマスクによって、こうした機会が奪われてしまっているのです。

ネット情報に頼る前に

子どもの発達や、そのために必要な要素をしっかり知っておくことは重要です。

同調圧力の強い日本では、なかなか周囲と違う行動はとりにくいもの。玉石混淆のネット情報に頼る前に、気軽に専門家に尋ねてみてください(新米パパ・ママ講座)。

ご自宅にいながら相談を受けていただけるオンラインカウンセリング。
コロナ感染対策という観点から、あるいは遠方にお住まいの方や移動時間を節約したいという方、また電車等での移動が苦手という方にも広くご利用いただいております。

ご検討いただく際には、あらかじめ以下の点をご留意いただけますと幸いです。

オンラインでのご相談は、個人(1対1)でのご利用となります

カップルカウンセリングなど複数名でのご相談は対面に限らせていただいております。
遠方にお住まい等やむを得ないご事情がある方はお問い合わせください。

お子様(成人の方も含めて)のカウンセリングを保護者様が申し込まれる場合

初回は保護者様のみでお話いただくことをお勧めしております。お子様が説明できる年齢であっても、メンタルのコンディションが思わしくない場合は、今までの経過や状況などを十分に説明できない場合があるためです。

初回相談の中で、2回目以降どのように進めていくか決めていきます。場合によっては、相談時間を分割して、お子様と保護者様それぞれからお話をお伺いすることもあります。その際には、それぞれお部屋から退出していただき、お一人ずつ順番にお話しいただいています。

カウンセリングは、できるだけ本音で、ありのままの感情でお話いただいたほうが回復・改善に向けての展開がスムーズになります。
また、相談中のご家族の方の言葉や話の内容を別の方が聞いて傷ついてしまったり、
「自分が家族にこんな迷惑をかけているんだ」
と罪悪感を抱いてしまったり、といったリスクを避けるという意味でも個々でお話いただく形が望ましいと考えております。

お子様の相談に限らず、ご本人様以外のご家族の方がオンラインカウンセリングをお申込みいただく場合も同様です。あらかじめご承知おきいただけますと幸いです。

「ものすごく大胆な構図と独特な色使いで絵を描く子がいるの! もしかしたらすごい芸術家になるかも!?」

あるとき、小学校で図工を教えていた友人が、新一年生の男の子のことを興奮気味に話してくれました。その子は、たとえば太陽を白で星ようなかたちに描き、海を黄色で塗ったりするというのです。

“常識”は現実からかけ離れている

多くの場合、私たちは、太陽は赤やオレンジで丸く、海は青で描くのが“常識”です。嵐の海を黒っぽく塗ったり、柔らかい日差しを黄色で表現することはあるかもしれませんが、せいぜいその程度です。

でも、本当に太陽は、海は、そんな色や形をしているでしょうか?

確かに沈む夕日は燃えるような赤やオレンジになることがありますが、昼間の太陽は違います。強い熱を放つ太陽は丸というよりも、少し尖った印象を受けたりします。強い日差しに照らされた海は、青というよりも黄金色の輝きを放っていたりします。

「見たまま、感じたまま」

それを紙の上に現そうとすれば、私たちが通常描く“常識的な絵”は、現実からかけ離れています。きっと男の子は、「目に見えた風景」「自分が感じた景色」を素直に表現したのでしょう。

本当の自分を見失っていく

ところがそれから半年もしないうちに、友人はがっかりした表情を見せました。

「あの子の絵、だんだん普通になってきちゃった。他の子と同じような絵しか描かなくなってきちゃったの」

学校では「こうあるべき」を教えられるし、他の子と違えば目立ち、ときに笑われたり、いじめの対象になったりします。
「みんなと同じ」でいるほうが、学校では過ごしやすいのでしょう。だけどそれは、自分を見失うことでもあります。

感情よりも思考を優先させ、理性で欲求を抑えているうちに、「自分がどうしたいのか」や「何を望んでいるのか」が分からなくなり、喜びや楽しみも薄れてしまったりします。

心を解放し、五感で感じる

でも、あなたの中の感性豊かな子どもはいなくなってしまうわけではありません。出番を待ちながら、ひっそりと隠れているだけです。「いつか気付いてくれるかも」と、あなたを待っているのです。

そんな“あなたの中の子ども”をもう一度、呼び起こしてみましょう。
その子は、無意識の世界への案内人です。今まで見えなかったものを見せてくれたり、気付かなかったものに触れさせてくれたりします。いくら頭で考えても分からなかったことを教えてくれたりします。

その力を借りて、心を解放し、五感で感じてみましょう。そして、本来の自分を取り戻していきましょう。

箱庭ワークショップは、その手伝いをしてくれます。

認知行動療法を用いたカウンセリング

気分が鬱々としがちな方に有効とされる認知行動療法。
近年、テレビやインターネット上の情報としても取り上げられることが多くなり、より注目が集まってきています。

認知行動療法は、認知療法と行動療法という、元々は別にあった二つの心理治療の方法を掛け合わせて、言うならば‘良いとこ取り’して生まれてきた、比較的新しい手法です。
ここ20~30年で急速に広まり、今や欧米での心理治療の主流になっているとも言われています。

実際にこちらの相談室で用いる場合の大まかな流れについてご紹介します。

初回のご相談では

まずは、ご相談者様のお困りの事柄や今までの経緯などをお聞きします。
困っていらっしゃる事柄にアプローチする方法として、認知行動療法がもっとも適切かどうかについて検討します。

ご相談内容によっては、認知行動療法以外の方法についてご案内させていただくこともあります。
たとえば、「自分の生き方について考えたい」という漠然とした大きなテーマの場合、あるいは、対人関係や家族・子育ての問題などについて対応を具体的に考えていくことが優先課題と思われる場合などは、認知行動療法は用いず、通常のカウンセリングとして進めていくことをお勧めします。

認知行動療法の進め方

日常生活の中で気分がネガティブな方向に揺れ動きやすいエピソードを挙げていただき、それについてさまざまな角度からの「検証」をおこないます。

「検証」とは、ご自身の感情がどう揺れ動くのか、その背景にはどのような考え方があるのか、その考え方のメリットとデメリット……等々について、詳しく掘り下げていく作業になります。
そのプロセスを可視化するためのワークシートや、考え方のクセを振り返るためのチェックリストを用いることもあります。

認知行動療法でめざす回復・改善とは?

このような作業を何回か繰り返しおこなっていくことで、今までは
「自分では手に負えないような感情の揺れ動きや落ち込み」
であったのが、
「自分で自分の感情を客観的に捉えられる・コントロールできる」
という感覚に近づけていきます。

認知行動療法は、「カウンセラーに変えてもらう」でなく、ご相談者様ご自身の気づきを通して、よりストレスの少ない、柔軟な考え方に無理なくシフトチェンジしていくための手法です。

その作業をお一人でされるのはなかなか大変だったりしますので、カウンセラーは作業を一緒に進めていくガイド役、というイメージでしょうか。
(自分でできるという書籍は多数出ていますが、あまりうまくいかなかった・途中で挫折したというお話もちらほら耳にします)

他のどの心理療法もそうであるように、認知行動療法もオールマイティではありませんが、うまく使うことで効果が実感しやすい方法でもあります。
(前述のとおり、ご相談内容によってはあまり適さないこともあります)

興味のある方・ご検討中の方は、お気軽にカウンセラーまでご相談ください。

こちらのサイトにも情報がございます。
認知行動療法を用いた心理相談
・メンタルヘルス専門相談

最近、男性のご相談が増えている印象があります。
夫婦間、カップル間で問題を感じているという場合でも、女性よりも男性がファースト・クライエント(最初の相談者)として登場するということも珍しくなくなってきました。

一昔前は、カウンセリングを利用するのは女性が圧倒的。
男性の多くはカップルカウンセリングやファミリーカウンセリングでさえも参加したがらない、ということがよくありました。

妻や母親と呼ばれる立場の人が、どうにかして夫・父親をカウンセリングに引っ張ってこようとするも、なかなか実現しないということがよくあったのです。

逆に、男性(夫や父親)が登場すると、そのカウンセリングは劇的な影響を受け、家族の風通しも良くなり、凝り固まっていたものが動き出すなど、大きな変化が期待できたものでした。

男性の家事・育児への理解は深まっても

ところが最近は、男性がまずご相談にやってくるのです。
その様子を見ていると、もしかしたら、日本の男性が

「男は弱音を吐いてはいけない」
「男は強くなくてはいけない」

などの“男らしさの病”から解放され、新しい生き方を獲得しつつあるのではないかという期待もあるのですが、現実生活では難しいところもあるようです。

それを実感したのが、つい最近、都が発表した『男性の家事・育児参画状況実態調査』(21年度)調査結果です。
これは、都内在住の18〜69歳の男女を対象に働き方の変化と家事・育児への影響などを尋ねています。有効回答数は5000人で、うち2000人は未就学児の子を持ち、配偶者と同居する男女でした。

前回(19年度)以後、新型コロナウィルスの感染拡大により、在宅が増え、男女ともに家事・育児に取り組みやすい環境になりました。

事実、配偶者がいる男女の40%が、平日の在宅時間のうち仕事以外に使える時間が「増加した」と回答。仕事以外に使える時間が増えた人のうち、男性の65.5%が「家事・育児に対する理解が深まった」と答えたそうです。

ところが、子育て世代男女の週全体平均を見ると、1日あたりの男性の育児時間は2時間23分(19年度)から2時間15分(21年度)にダウン。女性は6時間9分(19年度)から6時間10分(21年度)に微増しました。

育児以外の家事等も含めた21年度調査の週平均は、男性が3時間34分、女性は8時間54分で、その差は5時間20分です。19年度調査に比べて男女差は19分拡大しました。

つまり、

「家にいる時間が増加して男性の家事・育児への理解や関心は高まったが、実際にはやらないまま。逆に、家にいがちな家族のため女性の家事時間が増えた」

ということなのではないでしょうか。

取り返しのつかないことになる前に

これでは、女性のイライラ、夫婦間衝突、不和が増えても不思議はありません。
「どうして私ばっかり」と、女性の喪失感は募るばかりです。

もちろん、こうした状況をつくったのは、男性個人の問題ではないでしょう。
長年、日本社会がつくってきた働き方の問題、世間が向ける男性への目、性役割の固定概念など、いろいろな理由がありそうです。

かつて男性は企業戦士などと呼ばれ、「24時間戦えますか?」という栄養ドリンクのCMがはやるほど、「夫は仕事、妻は家庭」が当たり前とされていました。それらは日本社会全体の問題です。

しかし、「社会の問題だから」と看過していたら、夫婦関係は取り返しのつかないことになってしまうかもしれません。
夫の側は「うまくいってる」と思っていても、妻は内心、「不満や怒りでいっぱい」になっているかもしれません。

我慢したもの、ため込んだものが噴出したときほど、恐いものはありません。お互い思うことは、相手に伝わる方法で吐き出しつつ、上手に落としどころを探していきたいものです。

それには、まず、自分が何を感じ、考えているかを知り、よいコミュニケーション方法を探すことが重要です。

CAFICでは、こうしたみなさんのニーズに応えるため、カップル・カウンセリングや「もうひとりの自分”と出会うーー自己理解の勧め」なども用意しています。男性のみなさんも、ぜひご参加ください。

続くコロナ禍で、公立の小中学校でもオンライン遠隔授業が本格的に取り入れられているようです。学校から貸し出されるタブレットやパソコンを自宅に持ち帰れるということで、今やどのご家庭もお子さんを含めて1人1台インターネット端末機器を保有する、という時代になっています。

その中で相談として多くお聞きするようになったのが、「お子さんが動画ばかり見てしまって他のことをやろうとしない」ですとか「時間を決めて使わせようとしても守れずにいつも親子ゲンカになってしまう」といった問題です。

‘親子で話し合ってルール設定’のコツ

どのご家庭でも懸案事項となりがちな‘ルール決め’問題。対応方法のコツをいくつかご紹介します。

①‘注意して叱る’でなく、ふだんのテンションで話し合う

親「動画を見過ぎているよ、なんで約束の時間を守れないの」
「これからは○時までの約束だからね、わかった?」
子「うん」

というやり取りですと、お子さんにとっては「ママ(パパ)に怒られた」という印象が強く残り、「これからはルールを守ろう」という意識付けにはつながりにくくなります。注意するのとは別の場面で、改めて‘どのようなルールであれば守れそうか’について、親子で話し合う時間を持たれることをお勧めしています。

②親御さんも時間があって、気持ちに余裕があるときに話す

注意をするタイミングは、どうしても親御さんがお忙しい時間帯に多くなりがちですし、これは致し方ないことだと思います。前項でご紹介した‘別の場面でのルール決め’は、休日など時間の余裕があり、リラックスしているタイミングでされるのが良いでしょう。

③ルールを守るために関わりがある家族(母だけでなく父、同居する祖父母など)がいるときは、その方も同席だと尚よい(ルールが共有されやすくなる)

④決めたことを紙に書き残して、目立つ場所に貼っておくこともオススメ

動画視聴の件以外でも、「ゲームをやめられない」「宿題をやろうとしない」といったお悩みにも応用可能です。ぜひ各ご家庭の状況に合わせて工夫されてみてください。

また、このようなことを試されてみてもどうもうまくいかない、という場合は、カウンセリングの場を活用していただくのもよいかと思います。カウンセラーという第三者の視点が入ることで、解決策が見えてくることもあります。ぜひお気軽にご相談ください。

CAFIC立ち上げから2度目となる年末です。年末年始もコロナの影響は免れそうもなく、「第6波の襲来」と言われる中で迎えています。思い返せば、CAFIC開室は、第1波のまっただなかでした。

緊急事態宣言、外出自粛、ステイホームにテレワーク。マスク生活を強いられ、人との接触、関わりは“悪”とばかりの毎日。不安や孤独・孤立、怒りは少しずつ鬱積し、私たちの生活を蝕んでいます。

たとえば、孤立・孤独によってうつが増加しました。経済協力開発機構(OECD)によると、2020年の日本国内でのうつ・うつ状態の人の割合は、17.3%。2013年調査の7.9%から約2倍になりました(『東京経済ONLINE』21年10月11日)。

若年層への影響が深刻

若年層となると、さらに影響は深刻です。

国立成育医療センターが20年末に行った調査では、小学4~6年の16%、中学生の24%、高校生の30%に中等度以上のうつ症状が見られ、自殺や自傷を「ほとんど毎日考えた」小学4年生以上は6%だそう。

厚生労働省自殺対策推進室が発表した『令和2年中における自殺の状況』(21年3月)では、10~20代の自殺の増加も顕著です。従来から日本では10代の死因一位は自殺となっていて、世界的にもめずらしく問題視されてきました。それが今回は過去最多の777人(前年比118人増)になりました。

また、文部科学省がまとめた小中高生の自殺は前年より140人多い479人で、大学生を含む20代の自殺も前年より404人多い2521人でした(『東京新聞』21年2月17日)。

家族に向かうストレスや怒り

外に出られないことでたまったストレスや怒りは家族に向かうようにもなりました。20年度のDV相談件数は19万30件で、19年度の11万9276件から大幅な増加となっています(20年度DV相談件数速報値)。

性暴力被害等から少女を守る活動をしている一般社団法人Colabo(コラボ)には、外出自粛で親と距離を置くことが難しくなったり、アルバイトが減って生活費を稼げなくなるなどして、逃げ場を失った少女たちからのSOS相談が多く寄せられています。19年590人から20年度には約1500人に跳ね上がりました(『生活と自治』21年6月号)。

日本精神保健福祉協会が始めたメール相談にも、親からの暴言や暴力、理不尽な要求や束縛に「親を殴ってしまうかも」との声が寄せられています(『東京新聞』21年8月29日)

家族関係の悪化

カウンセリングの中でも、家族関係の悪化という話を多く聞くようになりました。良くも悪くも会社や学校が忙しく、顔を合わせる機会が無かったがために、なんとなく“流して”こられた不満や考え方の違いなどが、浮き彫りになりました。

最初は薄紙が挟まったくらいの亀裂だったものも、重なれば大きな溝になります。今まで時間や空間を共有しないことでやり過ごしていたものが、見過ごせないものになってしまったりします。

変化はチャンス

でも、もしかしたらそれはよりよい関係を築いていくための機会なのかもしれません。家族療法では、あらゆる変化は「良いもの」ととらえます。一見、悪い事態に見えることも、膠着した状態が動いたという意味では、新しい風を吹き込むチャンスでもあるのです。

CAFICでは、コロナ禍であっても子ども・おとな・家族が、よりよい関係、人生を紡いでいけるよう、22年もまた新しい試みを行っていきます。

みなさま、どうぞよいお年をお迎えください。