相談室ブログ,CAFICについて,子どもに関する相談(問題)

「子どものことで相談したいけれど、本人がカウンセリングには行きたがらなくて」というご相談を承ることがしばしばあります。

小学校高学年から中学生、いわゆる思春期の時期になりますと自我が芽生えて主張がはっきりしてきますので、なおさらそのようなお子さんも多いことと思います。

ご本人が来室されなくてもOK

病院の場合、「ご本人が来て診察を受けてもらわないと薬が処方できないので」と言われてしまうこともあるようですが、CAFICではそのようなことはありません。

保護者の方がお子さんを説得しようとしてエネルギーを消耗してしまったり、時期が延ばし延ばしになってしまうよりも、まずは保護者の方に相談にお越しいただくことをお勧めしております。

「本人を見ないとわかりませんよね?」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、保護者の方のお話だけでも十分カウンセラーは対応策を考えることができます。
保護者の方からの情報で、見立て(ご本人がどのような心理状態にあるかの推測と今後の見通し)はだいたいできますし、それに基づいて、ご家族の方がお子様にどう関わっていただくのが良いか、どのように環境を調整していくことが望ましいか、といった点についても考えることができます。

最後までご本人が登場しないことも

カウンセリングではお子さんが相談の場に直接現れなくても、ご家族の心理支援をおこなうことで、ご本人に間接的にアプローチし続けることが可能です。
これは「家族療法」という心理療法の一種を用いた手法で、お子さんの年齢を問わず、適用することができます(お子さんが成人している場合でも大丈夫です)。
ですので、中にはカウンセラーはご本人とは全く会わないまま、保護者の方とのカウンセリングを継続することで、ご本人の問題が改善したり、解決に近づいたりすることもあります。

本格的な‘引きこもり’を防ぐために

特に不登校で家や自室にこもりがちになっているお子さんの場合、「大事な話をしようとすると逃げてしまう」「本人が相談に行くと言ったのに実際にはなかなか動かない」といった状態になることが多く、専門家が関わるタイミングが遅くなりがちです。

不登校やこもりがちの状態が長期にわたりますと、自動的に本格的な引きこもりに移行していく可能性が高くなります。

長期化する前に、そしてできるだけ年齢が若いうちに新たな段階に向かえるよう、まずは親御さんご自身が早めに支援機関とつながることをお勧めしております。

相談室ブログ,子どもに関する相談(問題)

3月23日(火)より、「コロナストレスに負けない! 認知行動療法講座」(オンライン)が始まります。
長引くコロナウィルスの影響で、気分が落ち込んだり、イライラしたり、不安が高まったりという方も少なくないのではないでしょうか。

増える小中高生の自殺

子どものSOS
子どものSOS

コロナストレスの影響は、子どもたちの間にも広まっています。
2020年(令和2年)に自殺した小中高生は過去最多の479人にのぼります(2021年2月15日、文部科学省が児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議で公表)。

月別では、8月64人、9月53人、11月48人、6月45人で、一斉休校が終わり学校が再開した6月と夏休み明けの8月、そして11月は、前年同月と比べて2倍以上です。

原因として最も多いのは「進路の悩み」で、次いで「学業不振」、「親子関係の不和」。大幅に増えた女子高生をみると、「病気の悩み・影響」の『うつ病』が最も多く、次いで「その他進路に関する悩み」、「病気の悩み・影響」の『その他の精神疾患』となります。

漠然とした不安を抱える子どもたち

こうした統計上の数字を、カウンセリングの場に重ねてみると、「一斉休校だったからなかなか仲のいい友達ができない」「なんとなくクラスに一体感が無く、なじめない」などのご相談が増えている印象があります

「『何かがあった』というわけではないけれど、どこか疎外感や孤独感を感じる」
「なんだかよく分からないけれど、とにかくいつも不安」

・・・そんな小中高生が、今までよりも多いような感覚があります。

心が安まらない子どもたち

学校が休校になったり、塾にも満足に通えなかったりするのに、試験や受験は通常通り追いかけてきます。先の見えないコロナ禍のなかでも、将来に向けた準備や落ちこぼれないため、ひとりで頑張らなければなりません

これでは子どもたちの心は休む間がありません。いえ、学校が休みの分だけ、勉強の成果や将来も「自助努力」に委ねられ、子どもたちはますます追い詰められます

周囲のおちなたちの「子どもには力を付けてもらい、将来、困らない備えをして欲しい」と願う親心が、逆に子どもを追い込んでしまうこともあります。

おとなのストレスは子どもに伝わる

何より、おとながストレスフルで、ギスギス、イライラしていたら、その空気は子どもたちに伝わります。
おとなの側が不安を抱えていては、子どもはもっと不安になります。

そんなことにならないためにも、CAFICのストレス対策講座などを利用して、ストレスを軽減し、ストレスとうまく付き合う方法を見つけてみてください。

相談室ブログ,心理検査,発達障害

発達障害という言葉は、ここ数年、ニュース等で取り上げられたり、著名人がカミングアウトしたりと、ずいぶん身近なものになってきたように感じます。

ですが、まだまだ誤解されがちな部分もありますし、「そうかもしれないけどどうしたらいいのだろう」というところで止まってしまっている、という方も多いように感じます。

そもそも発達障害とは

コミュニケーションが苦手である、こだわりが強い・感覚の過敏さがある、集中が続かず要領よく物事を進められない、といったお悩みが代表的なものとして挙げられます。

コミュニケーションの苦手さ・興味の幅が限定される等は自閉症スペクトラム(ASD)、注意散漫さはADHD(注意欠陥多動性障害)の方に多く見られる傾向です。
アスペルガー症候群という言葉も一般的に知られていますが、これは自閉症スペクトラムというカテゴリーに含まれていますので、ほぼ同意語と考えてよいかと思います。

発達障害の原因は?

かつて「自閉症は親の育て方が悪かったのではないか」という誤解がありましたが、最近は正しい理解がだいぶ広まってきたように感じます。
発達障害は、生まれつき持った特性であり、脳の一部の機能に障害があると考えられています。

ですので、発達障害は‘人生の途中で突然発症する’というものではないですし、逆に言いますと根本的な治癒をめざすものでもありません。
その特性を知り、その特性とともにどう日々を過ごすか、どうすればより良く過ごせるか、を考えていくことが重要です。

発達障害の診断

診断は、医師による問診・心理検査・その他の情報(お子さんの場合は保護者の方からの聞き取り等)を総合して行われます。
CAFICは医療機関ではありませんので診断はできませんが、前述の「心理検査」の部分を行うことができます。この検査がどういうものかについては、また別の機会にもう少し詳しくご説明したいと思います。

CAFICでおこなえる支援

お子様の場合は、発達特性があることによって集団生活での適応が難しくなりがちですし、養育される保護者の方の心身のご負担も重くなることが多いと言えます。

CAFICでは、検査だけでなく、保護者の方への心理的サポートや環境調整に関する助言(学校やその他機関とどう関わっていくべきか)等もおこなっています。

おとなの方の場合は、ご自身の特性を把握し、現在お困りの事柄についてどう対応していくか、カウンセリングを通してそのサポートをおこなう形になります。

大事なのは、検査の‘その後’――つまり「その方が自分らしく、よりストレスの少ない日々を過ごせるようになること」ではないでしょうか。

相談室ブログ,ペットロス

ペットロス(猫)

『いぬのきもち』(2021年2月号)で、ペットロスについてのインタビューを受けました。これをきっかけに、「ペットロス・看取り」のオンラインミーティングを準備しています。

CAFIC開設当初より、「ペットロス・看取り」のグループを行いたいという思いがありました。
「同じ空気、同じ空間のなかで共感し合える仲間と思いを共有する」ことが、カタルシス効果や癒やしを生むからです。

しかし、新型コロナウィルスの感染拡大が収まらず、人が集まるミーティングの開催は厳しい状況が続いています。
だからといって、オンラインでは「同じ空気、空間の共有」がどの程度できるのかと、二の足を踏んでいました。

同じ空気、空間を共有する『場』の大切さ

ペットロス(犬)

しかし、取材を受けたことで、そうした『場』の大切について改めて考え直しました。
私自身が、ペットロスの渦中にいたときのことを思い出したのです。

あの、「だれも自分の気持ちなど分かってくれる人はいない」という孤独感、「愛する者がこの世を去ったのに、世の中はなにひとつ変わること無く動いている」という失望感、「こんなに愛しているのに、もう二度と会えないのだ」という絶望感。

それは生きることを困難にするほど、圧倒的なものでした。

空気や空間の共有が難しい今だからこそ

また、老いて病気になったペットと闘病生活をしていたときのことも思い出しました。愛する者の生命の火が少しずつ消えていく・・・それなのにもはや見ていることしかできない無力感や、「もうすぐ自分は確実に愛する者を失う」という恐怖感がよみがえってきました。

愛する者に日々できないことが増えて行き、死へと向かってくことを実感せざるを得ない「小さな喪失体験」の積み重ねの毎日。それはまるで自分の手足を次第にもがれていくようなつらさでした。

コロナの影響で、空気や空間を共有することが難しい今だからこそ、その痛みを分かち合う『場』が必要だと改めて感じました。

人が亡くなったときには

人が亡くなったときには、お通夜やお葬式、四十九日や一周忌というように、故人をしのび、思い出や感情を共有するセレモニーとしての『場』が用意されます。

こうした『場』は、「愛する者の死」という受け入れがたい現実を受け入れるために役立ちます。そこで、故人について語り、自分の思いを聴いてもらい、心も少しずつ整理されていきます。

「やり残したこと」「やってあげたかったこと」「やってあげられなかったこと」などを言葉にすることで、罪悪感は軽くなります。
日頃はこらえていた涙を流すことで後悔の念は薄まっていきます。感情に共感してもらうことで自分自身の気持ちを受け入れやすくなり、孤独感から解放されていきます。

コロナの渦中でも

ミーティングでは、一対一のカウンセリングとはまたちがう、グループ・ダイナミックスが働きます。人はグループから影響を受け、グルーにも影響を与えていきます。

今後、「ペットロス・看取り」以外にも、オンラインを使ったミーティングを順次、増やしていく予定です。

コロナの渦中にあっても、もできることを少しずつ探していきたいと思います。

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小学校や中学校でおこなわれているスクールカウンセリングや、自治体の教育委員会が運営している教育相談センター(名称は地域によって異なります)。
これらとCAFICのような民間の心理相談機関は、何が違うのか、どう選ぶべきか、について考えてみたいと思います。

教育相談とは?

対応できる相談内容は、どの機関でもさほど差はないかと思いますが、それぞれに得意分野はあります。

まず、学校校内でおこなうスクールカウンセリングは、学校内でのトラブル(友人関係など)や学校の先生たちに対応を考えてもらいたいと思うような事案(たとえば登校渋りや不登校など)に関して、カウンセラー経由で学校側とやりとりできる、というのが最大のメリットです。
カウンセラーと先生たちが校内で上手に連携を図ってくれるようであれば、そこに効果が期待できます。

教育相談センターは、発達に関する検査をおこなっていることが多いですが、希望者が多いため、学校で特別支援教育を受けることを検討されている方など必要性が高い方に限定しておこなっている自治体が首都圏では一般的です。そのほかに、お子様と保護者の方を対象とした心理相談全般もおこなっています。

担当者との‘相性’が決め手?!

スクールカウンセリングと教育センターに共通していることは、相談員の専門性にばらつきがあるということかもしれません。
自治体によりますが、中には‘カウンセラー養成の大学院を出たばかりで社会人1~2年目’という新人さんもいれば、心理系の資格を持たない元教員の方も相談員として勤務していたりします。

そのような方が必ずしも専門性の低い支援しかできないというわけではありませんが、「期待していたカウンセリングとちょっと違うかな」ということもあるかもしれません。
さらに言えば、心理の資格があり、経験があったとしても、あるご相談者の方にとっては「あまりピンとこないな」ということもありえます。

いずれにしても、カウンセリングは、ご相談者様とカウンセラーとが‘しっくりくる関係’であること、「この人に自分の悩みを手助けしてもらいたいな」と思えるような信頼関係が築けていることが大切です。

じょうずに活用して「次の一歩」へ

もし、学校など身近なところでの相談に出向いてみたけれどあまりしっくりこない、ただ話を聞いて「様子を見ましょう」と言われるだけで一向に進展が見られない、という場合は、別機関を検討してみられてもよいかもしれません。

また、不登校やひきこもりで学校から遠ざかってしまっている場合や、ご家庭内でのお悩みなど「学校のカウンセラーにこういう相談ってちょっと違うのかな?」と思われる場合なども、お気軽にCAFICにお問い合わせください。

年内は30日(水)まで、新年は電話・メール対応は4日(月)から、相談は5日からスタートします。どうぞよろしくお願いいたします。

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厚生労働省は、全国の児童相談所に今年1~6月に寄せられた虐待相談の対応件数(速報値)をまとめました。9万8814件(2020年9月30日)で、前年同時期と比べて8948件(10%)増えたものの、緊急事態宣言が出された4月から増加率が鈍化しているそうです。
コロナの影響で親子ともに自宅で過ごす時間が増え、虐待の増加が懸念されていたのは取り越し苦労だった・・・と安心したいところですが、「学校の休校などで虐待が見つかりにくくなっている」(同省)そうです。

虐待の数字を押し上げる夫婦の面前DV

面前DV

コロナのなか虐待が増えたのか減ったのか・・・本当のところはわかりません。

しかし、昨今の虐待統計を見ていると、子どもの目の前で激しい夫婦げんか(DV含む)が行われる「面前DV」が、心理的虐待の数字を押し上げていることは事実のようです。外出が減り、家の中で顔を合わせる時間が長くなればイライラや葛藤場面が増えること。平たく言えば「相手の嫌なところが目に付きやすくなり、けんかが増える」ことは、容易に推測できます。

実際、ご相談のなかでも、「コロナで家にいることが多くなって配偶者やパートナーに対しての不満が増えた」とおっしゃる方は少なくありません。

小さな火種のはずが・・・

長年生活を共にしていれば、不満が募ったり、ボタンの掛け違いが起きてしまったりすることはめずらしくありません。気安い間柄だからこそ、ちょっとした言い合いがヒートアップして、罵り合いになってしまうこともあるでしょう。

ひとつひとつの不満の種は、たとえば靴下の脱ぎ方だったり、食器の洗い方だったり、LINEの返事が遅いことだったり・・・端から見れば“微笑ましい”ような小さな火種だったはずなのに、いつのまにか二人では収拾できないほど燃え広がってしまうこともあります。

「家族の問題をだれかに話すのは恥ずかしい」
「夫婦のことを他人が理解できるはずがない」

第三者の視点を入れて解決の糸口を探しては

カップルカウンセリング

「夫婦のことだから」と抱え込んでしまうと、関係はさらに硬直していきます。次第に解決の糸口を見つけることが難しくなっていきます。

長い間、こんがらがり、膨らんだ毛糸玉を解くためには、ちょっとしたコツや経験が必要です。今までと同じやり方を続ければ、ますますこんがらがってしまうかもしれません。

第三者の客観的な視点を入れて、不満や問題のタネを見つけ出し、問題点を見つめ直して、やり直すきっかけを探してみてはいかがでしょうか。

お互いに「やり直してみたい」という気持ちさえあれば、夫婦関係を修復する可能性は残されています。
カップルカウンセリングという選択肢も視野に入れてみてください。

広い意味でのカップルカウンセリングとは

ところでカップルカウンセリングというと「夫婦やパートナーを対象としたもの」と思われるかもしれませんが、広くは二者関係の調整をはかるカウンセリングを指します。たとえば「親と子」や「上司と部下」「依頼人と依頼者」などです。

身近にいる大切な人、簡単には縁を切れない重要な相手との関係性に悩みを抱えている方も、ぜひご相談ください。

相談室ブログ,心理療法カウンセリング

医療機関

心身の不調や困り事が出てきたときに、どこに出向くのが一番よいのか、迷われる方も多いことかと思います。
そのような場合のご参考まで、まとめてみました。

まず、身体の不調がはっきりとある場合は、医療機関で内科的な疾患がないかどうかを診てもらうことを第一に考えても良いかもしれません。
その上で、「これといった疾患はないけれど、やはり不調が続く」「お医者さんにストレスを指摘された」という場合は、改めて精神科・心療内科か心理相談機関かを検討してみてはいかがでしょうか。

病院?それともカウンセリング?

精神科・心療内科と、心理相談機関との最も大きな違いは、薬による処方がなされるかどうか、です。ですので、たとえば「仕事になんとか行けるように、まず不眠をどうにかしたい」ですとか、「不安がつのってしまってつらいので、薬での治療を試してみたい」という方は、まず医療機関を受診して、医師に相談してみることをお勧めします。
中には、精神科の薬を飲むことには気持ちの面で抵抗がある、という方もいらっしゃるかと思いますが、そのような方も一度医師に相談して、心身がどのような状態にあるのか、聞いてみてもよいかもしれません。

医療と心理の活用法

カウセリング

「薬で少しラクになったけれど、根本的な解決・治療にはなっていないような気がする」
「薬で治療するというものではないと医師に言われた(対人関係でお悩みの方・不登校のお子さんもよく言われることです)」
という場合は、カウセリングを受けられることをお勧めしたいと思います。
服薬治療を続けながら、カウンセリングを受けることは、多くの場合問題ないですが、念のため主治医の先生に確認を取っておくと安心ですね。

こころの健康のために

精神科医療も、カウンセリングも、一昔前までは特殊な分野と思われがちでしたが、最近では‘必要に応じて活用する’ということがだいぶ一般的になってきたように感じます。
精神的な不調を「気合で乗り越えるぞ!」とできればそれに越したことはないのですが、そうもいかない時もあります。
それでも良いのです?
自分を責めすぎず、いたわってあげましょう。

相談室ブログ,自助グループミーティング

「愛」という名のやさしい暴力

9月17日に、『「愛」という名のやさしい暴力』(扶桑社)が出版されました。『すべての罪悪感は無用です』に続く、精神科医・斎藤学先生の名言集&その解説の第二弾です。

『罪悪感は無用です』同様、機能不全家族で育った人たちの「生きづらさ」に焦点を当てていることは同じですが、強いて言うなら、同書はそのなかでも共依存を中心とする「家族の『「愛」という名のやさしい暴力』問題」、「女らしさ」や「男らしさ」などの「らしさの病」に関する名言が多い、と言えるかもしれません。

虐待とは「子どもの濫用」

同書の構成に携わりながら、改めて「虐待とはなんぞや」と考えました。斎藤先生によれば、それは「子どもの濫用」ということにあたります。

殴ったり、蹴ったり、世話をしなかったり、性的に搾取するというような、ある意味“積極的”な行為だけではなく、破綻した夫婦仲の“かすがい”にしようとしたり、親の虚栄心を満たす存在に育てあげようとしたり、親の期待を過剰に押しつけることも、「子どもの濫用」であり、虐待である、ということです。

共依存と共依存症

また、共依存と共依存症についても考えさせられました。
ご相談のなかで「私は○○がいなくなったら生きて行けそうもありません。これは共依存ということなのでしょうか」と、問われることがよくあります。

「この存在がいなくなったら、とても生きていかれない」と思うことはとても健康です。こうした対象・存在があるからこそ、私たちは心の安定を保つことができます。そのような対象を児童精神科医のボウルビィは「愛着対象」と呼び、健康的な依存であると考えました。

しかし、その対象が、自分を支配したり、搾取したりしているにもかかわらず、「離れられない」となっているなら、それは依存“症”ということになるでしょう。

温故知新

たとえばアルコールで考えると分かりやすいでしょう。適度に楽しみ、体に害も無く、酔ったことで人間関係や仕事に支障が出なければ、アルコールは嗜好品です。
しかし飲んではいけない場面でもその衝動を止められず、酔ったことで周囲の人との関係にひびが入ったり、仕事で問題が生じるようになっているとしたら、アルコール依存症と呼ばれることになるでしょう。

同書の出版は、こんな「よくわかっているつもり」であったことを再認識するよい機会となりました。

もっと言えば、比較的、最近の話題である面会交流やコロナ対策にも通じる部分もありました。これぞ温故知新! ですが、詳細は読んでいただいてのお楽しみ、にとっておきましょう。
ぜひぜひお手にとって見てみてください。そしてみなさんの温故知新を探してみてください。

相談室ブログ,子どもに関する相談(問題)

9月も終盤に近づき、コロナに翻弄されっぱなしの令和2年度が折り返し地点まできました。まだコロナ禍の先行きは不透明ですが、次の春を見据えての進級・進学についての準備が本格化する時期にもなってきましたね。

日頃、お子さんについての相談をお聞きする中で、発達の問題や特別支援教育に関するお悩みもしばしばお受けすることがあります。

‘特別支援’とは?

発達障害という概念が世間に広く浸透してきている今、早い段階でその診断(あるいは「傾向あり」という診断の手前の段階も含め)を受けるお子さんは年々増加してきています。
受け入れる教育機関側の体制としても特別支援学級の数を増やしたり、就学相談~就学支援体制の拡充を図ったり等の対応がなされてきているようですが、やはり保護者の方が悩ましい選択を迫られる状況には変わりがありません。

また、行政で用いられる用語がピンと来ず、戸惑われるというお話もよくお聞きします。
たとえば「通級」と「固定級」の違い、「知的」と「情緒」という区分は何を意味しているのか、そして発達検査の結果や就学先の判定をどう受け止めればよいのか、等々。

確かにそのようなテーマで立ち止まることがなければ、改めて知る機会がない言葉ばかり。
その点についてしっかりと保護者の方が質問し確認できるような場があるとよいのですが、なかなか限られた時間での就学相談や教育委員会とのやりとりでは、そこまで至らないこともあるようです。

まずは情報を集めることから

解決策としては、(多くが有料ではありますが、)療育系のスクールなどサポート機関はどんどん増えていますので、そのような場で提供される情報や相談の場を活用することも良いでしょうし、発達の診断・支援をおこなっている医療機関でアドバイスをもらうことも有効かと思います。

そして、最も大切なのが、そのような各機関から寄せられる情報・助言を保護者の方がどう受け止め、家族・親族内で意見をまとめていくか、という段階です。
ご相談の中には、たとえば親御さんだけでなく、お祖父様・お祖母様などご親族の方のご意向があって…など、それぞれのご家庭での決断の難しさがあることかとお察しします。

後悔のない決断をするために

発達障害についての情報は飛躍的に増えていますし、サポート資源もたくさんありますが、お子さんの特性は一人一人異なります。
だからこそ、しっかり向き合い、どのような教育環境がもっとも適切と思われるか、節目ごとに熟考し、後悔のない決断をすることが重要です。

CAFICでは、お子様の発達に関する講座と、通常のカウンセリングの中でも発達に関するご相談を承っております。
‘困ったときの伴走者’としてCAFICの相談員がおりますので、お気軽にお問い合わせいただければと思います。

相談室ブログ,CAFICについて,夫婦の問題離婚面会交流

10月から「配偶者などからの暴力・DV(モラハラ含む)相談」と「ペットロス・看取り相談」が始まります。月曜・水曜限定です。詳細はこちらよりご確認ください。

当初、ペットロス・看取り相談はグループを中心にしようと考えていましたが、新型コロナウィルスがなかなかおさまらないため、当面は、オンラインによるマンツーマンの専門相談(対面をご希望場合はお申し出ください)とさせていただくことにしました。

暴力・DV相談

相談ください

配偶者などからの暴力・DV(モラハラ含む)相談については、

「自分が暮らしている自治体の女性センターや警察が行っているDV相談に、家庭の事情を話すのはためらいがある」
「役所や警察に相談に行くとシェルターに入らないといけないと聞いた」
「DV避難した場合、どんなプロセスをたどるのかわからないと踏み切れない」

・・・そんな話を行政のDV相談でよく耳にしました。

確かに、これからどんな生活が待っているかもわからないのに、「避難しよう」とはなかなか思えません。地元の相談窓口だと、地域の目が気になるというご意見ももっともだと思います。

増える面前DV通告

また、昨今、子どもの前で行われるDV(面前DV)が心理的虐待にカウントされるようになりました。それにしたがい、面前DVによる虐待通告が増え、子どもが児童相談所に一時保護されるケースも多くなりました。

DVと夫婦げんかの線引きが曖昧である、たとえDVのケースであっても一時保護されて親と会えなくなってしまうほうが本当にいいのかなど、さまざまな疑問があります。

そうした中、「DVだと児童相談所に子どもを連れて行かれてしまうと聞いたから、DV相談に行きたくない」という、DV被害者の方の声も聞きました。

「子どもを取られるくらいなら、このままの生活でいい」と考えてしまうのは当然ではないでしょうか。

ひとり一人のニーズに合ったサポートを

一口に「DV避難」と言っても、望むことや大切にしたいこと、生活状況、家族への思いなどはそれぞれ違います。

ひとり一人違う、疑問や不安に少しだけでもお応えし、その方のニーズに極力、沿いながら、安全を守り、その人らしい生活を手に入れることができるよう、お手伝いさせていただきたいと思っています。