「ものすごく大胆な構図と独特な色使いで絵を描く子がいるの! もしかしたらすごい芸術家になるかも!?」

あるとき、小学校で図工を教えていた友人が、新一年生の男の子のことを興奮気味に話してくれました。その子は、たとえば太陽を白で星ようなかたちに描き、海を黄色で塗ったりするというのです。

“常識”は現実からかけ離れている

多くの場合、私たちは、太陽は赤やオレンジで丸く、海は青で描くのが“常識”です。嵐の海を黒っぽく塗ったり、柔らかい日差しを黄色で表現することはあるかもしれませんが、せいぜいその程度です。

でも、本当に太陽は、海は、そんな色や形をしているでしょうか?

確かに沈む夕日は燃えるような赤やオレンジになることがありますが、昼間の太陽は違います。強い熱を放つ太陽は丸というよりも、少し尖った印象を受けたりします。強い日差しに照らされた海は、青というよりも黄金色の輝きを放っていたりします。

「見たまま、感じたまま」

それを紙の上に現そうとすれば、私たちが通常描く“常識的な絵”は、現実からかけ離れています。きっと男の子は、「目に見えた風景」「自分が感じた景色」を素直に表現したのでしょう。

本当の自分を見失っていく

ところがそれから半年もしないうちに、友人はがっかりした表情を見せました。

「あの子の絵、だんだん普通になってきちゃった。他の子と同じような絵しか描かなくなってきちゃったの」

学校では「こうあるべき」を教えられるし、他の子と違えば目立ち、ときに笑われたり、いじめの対象になったりします。
「みんなと同じ」でいるほうが、学校では過ごしやすいのでしょう。だけどそれは、自分を見失うことでもあります。

感情よりも思考を優先させ、理性で欲求を抑えているうちに、「自分がどうしたいのか」や「何を望んでいるのか」が分からなくなり、喜びや楽しみも薄れてしまったりします。

心を解放し、五感で感じる

でも、あなたの中の感性豊かな子どもはいなくなってしまうわけではありません。出番を待ちながら、ひっそりと隠れているだけです。「いつか気付いてくれるかも」と、あなたを待っているのです。

そんな“あなたの中の子ども”をもう一度、呼び起こしてみましょう。
その子は、無意識の世界への案内人です。今まで見えなかったものを見せてくれたり、気付かなかったものに触れさせてくれたりします。いくら頭で考えても分からなかったことを教えてくれたりします。

その力を借りて、心を解放し、五感で感じてみましょう。そして、本来の自分を取り戻していきましょう。

箱庭ワークショップは、その手伝いをしてくれます。

認知行動療法を用いたカウンセリング

気分が鬱々としがちな方に有効とされる認知行動療法。
近年、テレビやインターネット上の情報としても取り上げられることが多くなり、より注目が集まってきています。

認知行動療法は、認知療法と行動療法という、元々は別にあった二つの心理治療の方法を掛け合わせて、言うならば‘良いとこ取り’して生まれてきた、比較的新しい手法です。
ここ20~30年で急速に広まり、今や欧米での心理治療の主流になっているとも言われています。

実際にこちらの相談室で用いる場合の大まかな流れについてご紹介します。

初回のご相談では

まずは、ご相談者様のお困りの事柄や今までの経緯などをお聞きします。
困っていらっしゃる事柄にアプローチする方法として、認知行動療法がもっとも適切かどうかについて検討します。

ご相談内容によっては、認知行動療法以外の方法についてご案内させていただくこともあります。
たとえば、「自分の生き方について考えたい」という漠然とした大きなテーマの場合、あるいは、対人関係や家族・子育ての問題などについて対応を具体的に考えていくことが優先課題と思われる場合などは、認知行動療法は用いず、通常のカウンセリングとして進めていくことをお勧めします。

認知行動療法の進め方

日常生活の中で気分がネガティブな方向に揺れ動きやすいエピソードを挙げていただき、それについてさまざまな角度からの「検証」をおこないます。

「検証」とは、ご自身の感情がどう揺れ動くのか、その背景にはどのような考え方があるのか、その考え方のメリットとデメリット……等々について、詳しく掘り下げていく作業になります。
そのプロセスを可視化するためのワークシートや、考え方のクセを振り返るためのチェックリストを用いることもあります。

認知行動療法でめざす回復・改善とは?

このような作業を何回か繰り返しおこなっていくことで、今までは
「自分では手に負えないような感情の揺れ動きや落ち込み」
であったのが、
「自分で自分の感情を客観的に捉えられる・コントロールできる」
という感覚に近づけていきます。

認知行動療法は、「カウンセラーに変えてもらう」でなく、ご相談者様ご自身の気づきを通して、よりストレスの少ない、柔軟な考え方に無理なくシフトチェンジしていくための手法です。

その作業をお一人でされるのはなかなか大変だったりしますので、カウンセラーは作業を一緒に進めていくガイド役、というイメージでしょうか。
(自分でできるという書籍は多数出ていますが、あまりうまくいかなかった・途中で挫折したというお話もちらほら耳にします)

他のどの心理療法もそうであるように、認知行動療法もオールマイティではありませんが、うまく使うことで効果が実感しやすい方法でもあります。
(前述のとおり、ご相談内容によってはあまり適さないこともあります)

興味のある方・ご検討中の方は、お気軽にカウンセラーまでご相談ください。

こちらのサイトにも情報がございます。
認知行動療法を用いた心理相談
・メンタルヘルス専門相談

最近、男性のご相談が増えている印象があります。
夫婦間、カップル間で問題を感じているという場合でも、女性よりも男性がファースト・クライエント(最初の相談者)として登場するということも珍しくなくなってきました。

一昔前は、カウンセリングを利用するのは女性が圧倒的。
男性の多くはカップルカウンセリングやファミリーカウンセリングでさえも参加したがらない、ということがよくありました。

妻や母親と呼ばれる立場の人が、どうにかして夫・父親をカウンセリングに引っ張ってこようとするも、なかなか実現しないということがよくあったのです。

逆に、男性(夫や父親)が登場すると、そのカウンセリングは劇的な影響を受け、家族の風通しも良くなり、凝り固まっていたものが動き出すなど、大きな変化が期待できたものでした。

男性の家事・育児への理解は深まっても

ところが最近は、男性がまずご相談にやってくるのです。
その様子を見ていると、もしかしたら、日本の男性が

「男は弱音を吐いてはいけない」
「男は強くなくてはいけない」

などの“男らしさの病”から解放され、新しい生き方を獲得しつつあるのではないかという期待もあるのですが、現実生活では難しいところもあるようです。

それを実感したのが、つい最近、都が発表した『男性の家事・育児参画状況実態調査』(21年度)調査結果です。
これは、都内在住の18〜69歳の男女を対象に働き方の変化と家事・育児への影響などを尋ねています。有効回答数は5000人で、うち2000人は未就学児の子を持ち、配偶者と同居する男女でした。

前回(19年度)以後、新型コロナウィルスの感染拡大により、在宅が増え、男女ともに家事・育児に取り組みやすい環境になりました。

事実、配偶者がいる男女の40%が、平日の在宅時間のうち仕事以外に使える時間が「増加した」と回答。仕事以外に使える時間が増えた人のうち、男性の65.5%が「家事・育児に対する理解が深まった」と答えたそうです。

ところが、子育て世代男女の週全体平均を見ると、1日あたりの男性の育児時間は2時間23分(19年度)から2時間15分(21年度)にダウン。女性は6時間9分(19年度)から6時間10分(21年度)に微増しました。

育児以外の家事等も含めた21年度調査の週平均は、男性が3時間34分、女性は8時間54分で、その差は5時間20分です。19年度調査に比べて男女差は19分拡大しました。

つまり、

「家にいる時間が増加して男性の家事・育児への理解や関心は高まったが、実際にはやらないまま。逆に、家にいがちな家族のため女性の家事時間が増えた」

ということなのではないでしょうか。

取り返しのつかないことになる前に

これでは、女性のイライラ、夫婦間衝突、不和が増えても不思議はありません。
「どうして私ばっかり」と、女性の喪失感は募るばかりです。

もちろん、こうした状況をつくったのは、男性個人の問題ではないでしょう。
長年、日本社会がつくってきた働き方の問題、世間が向ける男性への目、性役割の固定概念など、いろいろな理由がありそうです。

かつて男性は企業戦士などと呼ばれ、「24時間戦えますか?」という栄養ドリンクのCMがはやるほど、「夫は仕事、妻は家庭」が当たり前とされていました。それらは日本社会全体の問題です。

しかし、「社会の問題だから」と看過していたら、夫婦関係は取り返しのつかないことになってしまうかもしれません。
夫の側は「うまくいってる」と思っていても、妻は内心、「不満や怒りでいっぱい」になっているかもしれません。

我慢したもの、ため込んだものが噴出したときほど、恐いものはありません。お互い思うことは、相手に伝わる方法で吐き出しつつ、上手に落としどころを探していきたいものです。

それには、まず、自分が何を感じ、考えているかを知り、よいコミュニケーション方法を探すことが重要です。

CAFICでは、こうしたみなさんのニーズに応えるため、カップル・カウンセリングや「もうひとりの自分”と出会うーー自己理解の勧め」なども用意しています。男性のみなさんも、ぜひご参加ください。

続くコロナ禍で、公立の小中学校でもオンライン遠隔授業が本格的に取り入れられているようです。学校から貸し出されるタブレットやパソコンを自宅に持ち帰れるということで、今やどのご家庭もお子さんを含めて1人1台インターネット端末機器を保有する、という時代になっています。

その中で相談として多くお聞きするようになったのが、「お子さんが動画ばかり見てしまって他のことをやろうとしない」ですとか「時間を決めて使わせようとしても守れずにいつも親子ゲンカになってしまう」といった問題です。

‘親子で話し合ってルール設定’のコツ

どのご家庭でも懸案事項となりがちな‘ルール決め’問題。対応方法のコツをいくつかご紹介します。

①‘注意して叱る’でなく、ふだんのテンションで話し合う

親「動画を見過ぎているよ、なんで約束の時間を守れないの」
「これからは○時までの約束だからね、わかった?」
子「うん」

というやり取りですと、お子さんにとっては「ママ(パパ)に怒られた」という印象が強く残り、「これからはルールを守ろう」という意識付けにはつながりにくくなります。注意するのとは別の場面で、改めて‘どのようなルールであれば守れそうか’について、親子で話し合う時間を持たれることをお勧めしています。

②親御さんも時間があって、気持ちに余裕があるときに話す

注意をするタイミングは、どうしても親御さんがお忙しい時間帯に多くなりがちですし、これは致し方ないことだと思います。前項でご紹介した‘別の場面でのルール決め’は、休日など時間の余裕があり、リラックスしているタイミングでされるのが良いでしょう。

③ルールを守るために関わりがある家族(母だけでなく父、同居する祖父母など)がいるときは、その方も同席だと尚よい(ルールが共有されやすくなる)

④決めたことを紙に書き残して、目立つ場所に貼っておくこともオススメ

動画視聴の件以外でも、「ゲームをやめられない」「宿題をやろうとしない」といったお悩みにも応用可能です。ぜひ各ご家庭の状況に合わせて工夫されてみてください。

また、このようなことを試されてみてもどうもうまくいかない、という場合は、カウンセリングの場を活用していただくのもよいかと思います。カウンセラーという第三者の視点が入ることで、解決策が見えてくることもあります。ぜひお気軽にご相談ください。

CAFIC立ち上げから2度目となる年末です。年末年始もコロナの影響は免れそうもなく、「第6波の襲来」と言われる中で迎えています。思い返せば、CAFIC開室は、第1波のまっただなかでした。

緊急事態宣言、外出自粛、ステイホームにテレワーク。マスク生活を強いられ、人との接触、関わりは“悪”とばかりの毎日。不安や孤独・孤立、怒りは少しずつ鬱積し、私たちの生活を蝕んでいます。

たとえば、孤立・孤独によってうつが増加しました。経済協力開発機構(OECD)によると、2020年の日本国内でのうつ・うつ状態の人の割合は、17.3%。2013年調査の7.9%から約2倍になりました(『東京経済ONLINE』21年10月11日)。

若年層への影響が深刻

若年層となると、さらに影響は深刻です。

国立成育医療センターが20年末に行った調査では、小学4~6年の16%、中学生の24%、高校生の30%に中等度以上のうつ症状が見られ、自殺や自傷を「ほとんど毎日考えた」小学4年生以上は6%だそう。

厚生労働省自殺対策推進室が発表した『令和2年中における自殺の状況』(21年3月)では、10~20代の自殺の増加も顕著です。従来から日本では10代の死因一位は自殺となっていて、世界的にもめずらしく問題視されてきました。それが今回は過去最多の777人(前年比118人増)になりました。

また、文部科学省がまとめた小中高生の自殺は前年より140人多い479人で、大学生を含む20代の自殺も前年より404人多い2521人でした(『東京新聞』21年2月17日)。

家族に向かうストレスや怒り

外に出られないことでたまったストレスや怒りは家族に向かうようにもなりました。20年度のDV相談件数は19万30件で、19年度の11万9276件から大幅な増加となっています(20年度DV相談件数速報値)。

性暴力被害等から少女を守る活動をしている一般社団法人Colabo(コラボ)には、外出自粛で親と距離を置くことが難しくなったり、アルバイトが減って生活費を稼げなくなるなどして、逃げ場を失った少女たちからのSOS相談が多く寄せられています。19年590人から20年度には約1500人に跳ね上がりました(『生活と自治』21年6月号)。

日本精神保健福祉協会が始めたメール相談にも、親からの暴言や暴力、理不尽な要求や束縛に「親を殴ってしまうかも」との声が寄せられています(『東京新聞』21年8月29日)

家族関係の悪化

カウンセリングの中でも、家族関係の悪化という話を多く聞くようになりました。良くも悪くも会社や学校が忙しく、顔を合わせる機会が無かったがために、なんとなく“流して”こられた不満や考え方の違いなどが、浮き彫りになりました。

最初は薄紙が挟まったくらいの亀裂だったものも、重なれば大きな溝になります。今まで時間や空間を共有しないことでやり過ごしていたものが、見過ごせないものになってしまったりします。

変化はチャンス

でも、もしかしたらそれはよりよい関係を築いていくための機会なのかもしれません。家族療法では、あらゆる変化は「良いもの」ととらえます。一見、悪い事態に見えることも、膠着した状態が動いたという意味では、新しい風を吹き込むチャンスでもあるのです。

CAFICでは、コロナ禍であっても子ども・おとな・家族が、よりよい関係、人生を紡いでいけるよう、22年もまた新しい試みを行っていきます。

みなさま、どうぞよいお年をお迎えください。

芸術の秋だから‥というわけではないのですが、今回はカウンセラーが心理相談の中で用いる手法の一つ、アートセラピー(芸術療法)についてご紹介したいと思います。

アートセラピー(芸術療法)とは

 芸術表現には、それを作成した人の深層心理が現れる‥と考えることができます。また、創作活動そのものが、心を癒やすとも言われています。
‘アートセラピー’とは、芸術的な創作活動を伴う心理療法をひとまとめにしたカテゴリー名です。具体的な手法として、箱庭療法・コラージュ療法・絵画療法などが代表的なものとして挙げられます。

箱庭療法とは:木箱の中に箱庭療法専用の砂が入っており、その砂を動かしたり、ミニチュアを使ったりして、さまざまな風景や状況を表現することができます。

コラージュ療法とは:さまざまな写真やイラストの切り抜きの中から、ご自身が使いたいと思うものを選び、それを白い紙の上に自由に配置し、糊で貼っていきます。

どちらの手法も、ご自身でテーマを決めて作成することもできますし、ただ気持ちのおもむくままに作っていただいても結構です。

「そんなこと急に言われても、おとなの自分が取り組むのってちょっと抵抗がある‥」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際に体験していただくと、ご自身の感覚をフルに働かせながらの作業に没頭し、楽しまれる方が大半です。

安全な場で表現することがこころを癒やす

 私自身もかつて見習いカウンセラーをしていた頃に、ベテランの先輩カウンセラーに見ていただきながら、箱庭やコラージュを作り、どういう思いで作ったか、今どんな気持ちか、などを聞いてもらい、とてもスッキリした!という体験をしました。

ちなみにこの‘スッキリした!’という感覚は、心理学用語でカタルシスと言います。カタルシスは心の浄化作用とも言われています。言語化できないような心の奥のモヤモヤを芸術表現をとおして吐き出すことで、心がほぐれて軽くなるような‥そんなイメージでしょうか。

アートセラピーは、年代・性別を問わず興味をお持ちの方に広くお勧めできますが、その他にも「言葉で自分の感情とか漠然としたものを表現するのが苦手」「カウンセリングでうまく話せるかわからなくて不安」という方にも適しています。また、発語が少ない、あるいはカウンセリングにあまり乗り気でないというお子様にも、ストレスなく楽しみながら取り組んでいただけるので、おすすめです。

詳しくは担当カウンセラーまで、お気軽にご相談ください。

子どもの教育・育児方針の違い、家事分担の不平等感、金銭感覚の差、お金の使い道、不倫・不貞行為や暴力、ギャンブル・飲酒問題等々、さまざまな問題を解決しようと、多くの方がカップルカウンセリングをご希望されます。

表面化する問題は十人十色。カップルの数だけありますが、そのほとんどはコミュニケーションの問題に起因しています。

夫婦のあり方に正解はありません。
たとえ、どんなに大きな障害があろうとも、お互いを尊重しながら話し合って“落としどころ”を探していければ問題は解決していけます。

自分の常識が相手には非常識のことも

しかし、それが思いのほか難しいのです。
人にはそれぞれ、その生育過程で身につけた考え方や価値観、正義などがあります。相手もまた然り、です。
自分にとっての常識が、相手にとっては非常識と思えることもあるし、優先順位がまったく違うということもあります。自分は「当たり前」の言語が、相手にはちんぷんかんぷんということもあります。

できるだけ冷静に話そうとするあまり自分の思いを語れていなかったり、逆に感情的になりすぎて相手に響かないことがあります。十分に言葉を尽くしているつもりなのに、相手にはまったく伝わっていないこともあります。

「自分の方が正しい」「大切な人だからこそ理解して欲しい」「相手に変わって欲しい」と思うのは、ある意味当然です。しかし、それを主張し、押し通そうとしたら、行き詰まるだけです。
たとえ一時的にどちらかが折れ、その場をしのいだとしても、不満の火種はくすぶり続けます。これが、何かのきっかけで燃え広がることもよくあります。

カウンセラーの役割

カップルカウンセリングでは、カウンセラーはどちらが「正しい」「間違っている」というようなジャッジはしません。どちらか一方に肩入れするというようなこともありません。

先ほども述べたように、夫婦のあり方に正解は無いからです。

カウンセラーは家族の一員のようにその場にいて会話に参加し、まったく違う価値観・視点を持った第三者として機能します。ふたりでは見落としていたことや通り過ぎてきたことを指摘したり、すれ違ってきた言動を翻訳したり、今までとは別の方法や見方を提示します。

そうして夫婦がお互い歩み寄り、ゴールイメージを共有し、お二人らしい夫婦のかたちを探すためのコミュニケーションをサポートしていくのです。

個人カウンセリングを勧めることも

このプロセスの中で、各々の生育歴やもともと抱えているものの存在が大きく、二人がよりよいコミュニケーションを取り、よい関係性を築いていく作業の妨げになっているように感じたときは、個人カウンセリングのなかで、各々の問題を解決していくことをお勧めすることもあります。

CAFIC(ケフィック)では、情緒の不安定さ・不登校・対人トラブル・その他さまざまな問題行動など、お子さんに関するお悩み全般をお受けしております。
発達特性についてのお悩みの場合、検査をおこなうことも可能です。詳しくはこちらをご覧ください。

お子さんにカウンセリングが必要かも‥?と思ったときに

こちらのカウンセリングルームでは、まず保護者の方のみ初回相談としてお越しいただくことをお勧めしております。
なぜかと言いますと、お子さんと一緒にお見えになった場合、お子さんの前で保護者の方のご相談内容をお話いただく形になってしまい、これがお子さんの心のケアとしては良くない影響を及ぼす場合があるためです。

保護者の方のご相談内容を傍にいるお子さんが聞くことで、「お母さんは自分のせいでこんなに困っているんだな」と委縮してしまうこともあります。
あるいは、お子さんの思いとは異なる説明があったとして、お子さんがそこで言い出せなかった‥というような場合、結果として、親御さんのお話を共感的に聞いているカウンセラーに対して不信感や反感を持ってしまう‥といったことも起こりうるのです。

カウンセリングをより効果的にご利用いただくために

お子さんが同席の場では、カウンセラーから保護者様に対して踏み込んだ内容の質問がしにくかったり、具体的な助言がしにくかったりすることもあります(「お子さんにこう関わってみてはどうですか」という内容をご本人の前では言いにくいですし、ご本人が知ってしまうと効果が半減することもあります)。

お子さんにまつわる困りごとは、保護者の方の関わり方を工夫することが解決・改善の近道になる‥ということもありますので、そのような意味合いでも、保護者様のみでお越しいただく時間を貴重な機会として考えております。

ただし、お子様の年齢やご様子によっては一人で家に残しておくのが心配である等、それぞれのご事情があるかと思いますので、上記の限りではありません。まずはご相談内容をお知らせいただき、最善の対応方法をご一緒に検討させていただければと思います。

「男の子なんだから、泣いたらおかしい」
「女の子なんだから、お手伝いしなさい」

みなさんも、人生で一度くらいはそんな声かけを聞いたことがあるのではないでしょうか。
こうした日常のなかで何気なくすり込まれた“考え”や“価値観”は、知らずしらずのうちに、私たちの中にしみ込んでいき、
「こうあるべき」
「こうでなければならない」
という自分ルールをつくりあげていきます。

精神分析でいう超自我とか、認知行動療法でいうところのスキーマというものです。

無意識のルールは必要だけど

こうした無意識の働きは、私たちが社会に適応し、そつなく生きて行くために不可欠なものです。

それがなければ周囲の期待に応えたり、職場や学校でうまくやっていくことも難しくなります。
もっと言えば、「こういうときにはどうやって振る舞ったらいいのか」と、そのたび事に考えて行動しなければなりませんから、かなり大変です。

今までとは違う服を着てみる

しかし、その働きが強くなりすぎると、自分の感情や望んでいるものが分からなくなってしまいます。周囲の目ばかりが気になって、自分をぎゅうぎゅうに縛り上げることになり、苦しくなってしまったりします

いつしか、自分でつくりあげた「あるべき」に取り込まれて、自由にのびのびと生きることができなくなったりしてしまいます。

「こんな服が似合うよ」と差し出された服をずーっと着続け、本当は窮屈だったり、好みに合わなかったり、今の生活スタイルに向かなくなってしまっているのに「自分の服はこれしかない!」と着続けているような状態、と言えばいいでしょうか。

心の声に耳を傾けてみましょう

思い切って古い服を捨て、今までに着たことの無い服を着てみたら、「けっこう似合うな」と思ったり、楽に動けたという経験はありませんか?

勇気を出して今までとは違うスタイルを取り入れてみたら、なんだか体が軽くなって世界が新鮮に見えたということはありませんか

心も同じです。

「自分はこういう存在」と決めつけず、心の声に耳を傾けてみましょう。心の奥に押し込めてきた「もうひとりの自分」が、何を望み、何を欲しているのか尋ねてみましょう。
あるべき姿にとらわれず、「もうひとりの自分」を解放してみましょう。

「もうひとりの自分」といい関係がつくれれば、きっと今より楽に呼吸ができるようになり、あなたらしく生きられるようになるでしょう。

CAFICの自己理解講座は、そんな「もうひとりの自分」との出会いをお手伝いします。

タイトルのご質問をいただくことがよくあります。
わかりやすく反抗期の特徴が見られるお子さんもいれば、それまでととくに変わらない、あるいは「ちょっとしゃべらなくなったかな?」くらいの変化、というお子さんも少なくありません。何が普通、とは一概に言えないように思います。

揺れ動く思春期のこころ

思春期と言われる小学校高学年から高校生にかけての時期は、身体変化だけでなく、心理的にも大きな変化が見られます。

 「自分自身が何者なのか」
 「自分は周囲からどう見られているのか」
 「自分の置かれている環境は他者と比べてどうなのか」

等々、抽象的な思考を多くするようになり、それが思春期の心には苦しかったり、葛藤や混乱をもたらしたりもします。
ですが、このようなプロセスの中で自我が確立されていき、思春期の一大テーマである、精神的な自立へとつながっていきます。

周囲の大人からすると、「愛想がない」「態度が悪い」という様子であったとしても、その裏側では、思春期なりの苦悩があり、精一杯生きている、と捉えることもできるのです。

思春期からの親子の‘距離感’

反抗期の有無に関わらず言えることは、
「思春期から20代前半にかけての時期は、‘自立していく存在’であることを親御さんが受け入れ、必要に応じてサポートし、でも手放していくこと」
であると感じます。
サポートすることと手放すこと。これは相反しているようにも感じられると思います

この時期は、当然ながら、まだお子さん自身では対応しきれないこと、親御さんのサポートが必要な場面が多々あります。
ですが、お子さんが直面する課題・難題をすべて親御さんがあたかも本人であるかのように全力で受け止め、全力でサポートをする‥というような関わり方は、徐々に変えていくことをお勧めします

お子さんの学校生活・友だち関係・進路・就職‥等々、親御さんにとっては気がかりな問題が次々と起こるかもしれません。ですが、お子さんはいずれ親御さんの手を離れ、自分の足で立ち、適切な判断や対応を自分自身でおこなえるようになる必要があります。

‘お子さんのつらい感情を親御さんが一緒に受け止め、解決に導いてあげる’というよりも、‘感情には寄り添いつつ、一緒に考えるけれど、できるだけ本人が決め、動いていけるように見守る’くらいの立ち位置がほどよい距離感ではないかと思います。

CAFICはご本人・ご家族の方の‘困った’を後方支援します

思春期からのほどよい距離感、そしてサポートしつつ手放す。
これがスムーズなお子さんの自立を促し、かつ引きこもり予防にもなると考えられます。(引きこもりのことについては、また別の機会にもう少し詳しく書きたいと思います。

一人一人異なる思春期は、大人への入口となる大切な期間です。
へこんだり、立ち止まってもいい、ロスタイムがあったり回り道があってもいい。
ただ大きく深みにはまらず、できるだけ継続して社会参加できる状態であってほしいと願っています。