『死ぬまで生きる日記』

相談室ブログ,心理療法カウンセリング

カウンセリングを受けて気持ちがラクになる・心身の不調が回復する――「でも、それってどうやって?どんなふうに?」という疑問は多くの方にあるのではないでしょうか。今回はカウンセリングを受けた相談者側の方の実体験を、繊細な感性と描写力でまとめられた貴重な一冊をご紹介したいと思います。

希死念慮はどこから?

死ぬまで生きる日記」土門蘭さん著(生きのびるブックス)。
著者の方は、日常生活は送れているものの、子どもの頃から「死にたい」気持ちが消えず、不眠や涙が止まらなくなる等、いわゆる鬱っぽい症状が継続していたことから、カウンセリングを受けることに。

2年間、カウンセラーとの対話を通して「死にたい」気持ちの背景を丁寧に掘り下げていきます。
生まれ育った家庭での満たされなかった思いや考え方のクセなど、どのようにカウンセリングの中で取り扱い、また、相談以外の時間を通してどのような気持ちや行動の変化が生まれていくのか、どのように‘回復’していくのか、実体験ならではの臨場感あふれる記録となっています。

カウンセリングの実際

専門職の立場からすると、この作品に出てくるカウンセラーの方(仮名で「本田さん」)の進め方についてもとても興味深いものがあります。文章中に認知行動療法のテクニックがいくつか出てきますが、心理相談全体としては複数の心理療法を適宜ミックスして使っておられ、その中の一つが認知行動療法、という折衷派の方であるようにお見受けします。それに加え、本田さんという方個人のオリジナリティも加わり、相談者の方に寄り添うスタイルがとてもステキだなぁと感じ入りました。

カウンセラーがどのような手法やスタイルで進めて行くかは一人一人で異なりますし、何が正解というのがはっきりあるわけではないので、「こちらの相談室で本田さんと同じようなカウンセリングを受けられますか?」と聞かれると困ってしまうのですが、心理相談に興味がある方、そしてネガティブな感情の渦から一歩踏み出したい方にも、ぜひお勧めしたい一冊です。

Posted by 梶原真弓

Posted by CAFIC池袋