相談室ブログ,子どもに関する相談(問題)

12月に更新の記事で、‘親子カウンセリングを考えているけれど、子どもが同意しない場合’の対応について書かせていただきました。
今回は、実際にお子さんも同意した上で、カウンセリングを導入する場合の進め方についてご案内させていただきます。

初回は保護者様お一人で

お子様の年齢に関わらず、初回のご相談は保護者様お一人でお越しいただいています。
初回は今までの経過や現在お困りの事柄をお伺いし、問題整理と「何から話し合うと良さそうか」という優先順位付けをおこないます。

これはその後のお子様同席での話し合いをスムーズに、かつ効率よく進めていくための重要なステップです。
初回から親子同席ですと、この準備段階を踏めなくなってしまうため、カウンセラー側の状況把握が十分になされないまま、家庭での親子げんかが再現されてしまったり、あるいはお子さんが黙りこくってしまったりと、かえって非効率なことが多いです。

次のステップはお子様のみ

保護者の方からお話を伺った後、お子様にも個別でお話をお伺いしています。どんなにやりたい放題のお子さんであっても、本人なりの思いや考えがあり、子どもの立場から見た言い分があります。まずは親御さんがいらっしゃらない場で、本音を話してもらっています。

お子さんが「自分の気持ちもきちんと聞いてもらえる場なんだ」と感じ、安心感を持ってもらうことが、その後の親子カウンセリングの際の‘対立でなく、よりより関係を目指していこう’という姿勢につながります。

親子同席でカウンセリング

上記の準備段階を経て、いよいよ同席での親子カウンセリングです。すでに問題はある程度整理されてきていますので、カウンセラーが進行役となって、話し合うべきテーマについて双方の意見や思いを伺いながら進めていきます。

ご両親とお子様、あるいはそれ以外のご家族の方も含めてのカウンセリングを検討されている場合は、あらかじめカウンセラーにご相談ください。話し合う問題や状況にもよりますが、初めの段階から皆さんそろって進めるよりも、限定されたメンバーでスタートしたほうがスムーズに進むこともあります。

夫婦関係のご相談にも共通して言えることですが、このようなステップをあせらずに踏みながら進めていくことが、複数の方の関係調整をおこなうカウンセリングでは重要です。お困りの方は担当カウンセラーまでお気軽にご相談ください。

相談室ブログ,CAFICについて

新年が明けたと思ったら、もう1月も後半。年末年始はいかがお過ごしだったでしょうか。

早いもので、CAFIC立ち上げから今年で5年になります。コロナ禍での船出に大きな不安を感じた日々が、昨日のことのようです。

みなさまのおかげで順調にここまでやってくることができました。本当にありがとうございます。

男性のクライエントさんの増加

5年の間に、専門相談やミーティングの数は増え、ワークショップも定期的に開催し、従来のカップル・ファミリーカウンセリングの枠には収まらない、離婚相談もスタートさせました。

離婚するカップルが増える中で、子どもと離れて暮らす親との面会交流や、離婚条件の話し合いなどのニーズも高まってきました。この間、日本も単独親権から共同親権へと舵を切ったという大きな変化もありました。

「離れて暮らす子どもに会いたい」というご相談は本当に増えています。

離婚や面会交流の事案に限らず、最近は、男性のご相談者が増えています。私がカウンセラーになった頃は、クライエントさんはほぼ女性というのが当たり前でしたが、最近は男性の方も増えています。むしろ新規のお申し込みの方で言うと、男性の方が多いくらいです。

親子関係、子ども問題の相談も増えて

受験競争は加熱の一途をたどり、東京近郊では中学受験が当たり前になり、それらを巡っての親子関係の問題や葛藤も高まっています。
「改正」教育基本法(2006年)後、家庭教育の責任がどんどん重くなり、教育(養育)に関わる出費もうなぎ登り。経済的に困窮していない家庭でも、子どもにかけるお金の捻出に四苦八苦していることも少なくありません。

2002年から10年ごとに実施されている文部科学省の調査によると、発達障害の可能性のある小中学生は全体の8.8%にもなるといい(2022年)、学校に行かない不登校の小中学生は都内で3万人を超え、全国では35万人に迫る勢いです。

こうした中、親子関係やお子さんのことでご相談される方も増加傾向です。

大事な家族の一員である伴侶動物(ペット)にまつわるご相談も、忘れることはできません。

高まる「家族の悩み」のニーズ

「心の問題」にとどまらず、家族に関する悩みを抱えている方々のニーズがますます高まってきているように思います。

今後も、今まで以上に、その方らしい人生を取り戻すためのトータル・サポートが行えるよう、努力して参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。

相談室ブログ,子どもに関する相談(問題)

こちらのカウンセリングルームでは、親子間の関係調整についてのご相談を承っております。
お子さんが成人されている場合もお受けできますが、「思春期の子どもとの不和を解消したい」というお悩みを多くお聞きしますので、今回はその場合についてご説明したいと思います。

こんなときにご活用ください

思春期(小学校高学年~高校生)の時期は、自我が育ち、‘親とは違う個人である自分’という意識が強くなります。
自分の考えを主張することが多くなり、その分、親子間で意見が対立しやすくなります。

「親子だけで話すと感情的になってしまうので、第三者がいる場で冷静に話し合いがしたい」といった場合にカウンセリングを活用していただくのも一策です。

本人(子ども)の同意が必須

親子カウンセリングをおこなう場合、お子さん本人が同意していることが大前提となります。本人が嫌がっているのに「カウンセリングでも受けてあなたが変わらないとどうしようもないでしょう!」等と説得して連れてくる、というのはお勧めしません。

仮にお子さんがどんなに滅茶苦茶なことをしていたとしても、1人の人間として認めてあげて、その意見を尊重してあげる姿勢が大切です。
無理やり、あるいは行き先をはっきり言わずに騙すような形で連れて行くことは親子間の信頼関係にヒビが入りますので避けましょう。

本人不在でも対応可能

お子さんが同意しない場合は保護者の方のみでお越しください。
本人がお見えにならない場合は親子カウンセリングという形にはなりませんが、‘親として現状にどう対応していくべきか’をカウンセリングで考えていくことが、事態の改善への一歩となります。

お子さんの反抗が激しい場合や、家にこもりがち・外出困難な場合に「子どもが相談に行けるようになったら‥」と様子を見ていると、そのまま事態が長期化してしまうこともあります。
ご家庭で抱え込まず、ぜひ専門家にご相談ください。

心理相談は父母別々で

お子さんに関するご相談は、親御さんお一人(お母様・お父様のいずれか)でもちろん可能です。

ご両親での来室を検討されている場合は、別々の時間でお一人ずつお越しいただくことをお勧めしています。
カウンセリングは学校の面談とは異なります。ご両親それぞれの思いや考え方を率直にお話しいただき、必要であればご夫婦間の考え方をすり合わせていくことが、お子さんの問題解決につながることもあります。
初回は、とくにカウンセリングが必要と考えられている保護者の方お一人で、ぜひお越しください。その後の進め方を担当カウンセラーより提案させていただきます。

お子さん同席でのカウンセリングをおこなう場合、どのように進めていくかについては、また別の機会に改めてご紹介させていただきます。

相談室ブログ,ペットロス

9月、10月と続けて「ペットロスについて話して欲しい」と、メディアからの依頼を受けました。

ひとつは11月23日(土)18:05〜18:34放送の所さん! 事件ですよ 最愛のペットがよみがえる!?別れと出会いの最新事情(NHK) 。

もうひとつは三菱モルガンスタンレー証券のメンバー誌『Fortuna』(12月号)です。

今までも週刊誌やペットの専門誌で取材を受けたことはありましたが、ここにきてペットロスへの理解が進んだような印象です。

ペット(伴侶動物)は大切な家族

家族相談に取り組むCAFICでは、相談室立ち上げ以来、ペットロスやペットの看取りに関するカウンセリング、ミーティングにも力を入れてきました。

ペット(伴侶動物)は、かけがえのないパートナーであり、いつ、どんなときにも世話する人間を慕ってくれる子どもであり、大切な家族だからです。

そんなペットに先立たれた悲しみは、大切な人に先立たれたときと同じくらい、人によってはそれ以上のダメージになります。

動物であるがゆえに

人間の場合は、お通夜やお葬式、四十九日や一周忌などの法要があり、そこで慰めを得たり、思い出を語り合うことで悲しみの共有や喪失感を癒やすことができます。
一連の「死の儀式」は、死者への弔いとしてだけではなく、残された者が思う存分、泣き、悲しんで、とうてい受け入れ難い「死の現実」を受け入れるために重要な意味を持ちます。

ところが、ペットの場合は、それが動物であるがために、残された者が十分に嘆いたり、悲しみを共有したり、癒やしたりする場がありません。人間であれば当然得られるはずの慰めを得られないこともしばしばあります。
それどころか、「たかが動物じゃないか」というような心ない言葉を投げつけられることもあります。

立ち直ることができない痛手にも

我が子同然に愛してきた存在が、いつのまにか自分の年を追い越し、先に逝ってしまうーー。その現実を受け入れることはとても難しいことです。
愛着対象の喪失は、世界が崩壊するような絶望感と孤独感をもたらします。ときには、ひとりでは立ち直ることができないほどの痛手を負うこともあります。

番組をご覧いただくことで、その事実を多くの方に知っていただけたらと思います。

関連記事

相談室ブログ,子どもに関する相談(問題)

以前、「ゲーム依存を防ぐために、まずはご家庭でルール作りを」というテーマで書かせていただきました(こちらをご参照ください)。
今回は、それ以外の工夫について書いていきたいと思います。

「ゲーム以外の趣味がない」は要注意!

趣味をたずねられたとき、「ゲーム」と真っ先に答えるお子さんも多いことでしょう。
それ自体は問題ではないのですが、「ゲーム以外の好きなことは?」と聞かれたときに、悩んで出てきたのが「YouTubeで動画を見る」だけであったり、「他はない」「ゲーム以外はいつもつまらない」という話だとすると、カウンセラーとしては少し心配です。

‘好きなこと’はバリエーション豊かに

ゲーム以外に楽しいと思えること、身体を動かすこと・ものづくり系・何かを集める・絵を描く・生き物や鉄道‥どんなことでもいいので、何か好きな分野があり、‘それに関わっている時間は楽しい’と思える事柄があるとよいですね。

親御さんも無理のない範囲でそれらを一緒に楽しんだり、協力したり、ほめてあげたり‥ができるとさらによいでしょう。

今現在、お子さんがゲーム・ネット以外で興味のあることがなさそうであれば、家族の別の方の活動にそのお子さんを誘って、一緒に何かをおこなう、ということを始めてみてはいかがでしょうか。
「山にキャンプに行く」「川に釣りに行く」等というと大がかり過ぎるかもしれませんが、家でお子さんが好きな料理を作るのを手伝ってもらうですとか、地域のイベントに一緒に参加してみるとか、ちょっとしたことでも十分よいと思います。
デジタルな物から離れて楽しく過ごせる時間を少しずつ増やし、ポジティブな感情をご家族で共有することができるとよいですね。

ゲーム以外の楽しい時間が依存予防になる

大人の依存症にも共通する話ですが、「ストレス解消の方法が一つしかないと、その方法に依存しやすい」と考えられています。

子ども時代からさまざまな経験をし、物事に触れて、その中から興味・関心のある分野や活動を見つけられると、それが長期的にはストレスに負けにくいタフな心を育むことにつながります。

がんばって成果を上げなくてもよいですし、毎週通う習い事ほどコンスタントなものでなくてもよいと思います。ちょっとした‘好きなこと’を増やしていけるとよいでしょう。

相談室ブログ,その他

諸外国の人々に比べ、日本人の睡眠時間は短いと言われ、「睡眠負債」という言葉もあるくらいです。

そんな睡眠負債を抱えたおとなと暮らしている子どもも、その影響を受けずにはいられません。

たとえば、日本の乳幼児の就寝時刻の遅さを示す調査結果があります。なんと47%が、22時以降に眠るというのです(『東京新聞』24年8月6日)。

厚労省の「睡眠指針」

10年ぶりに厚生労働省が改定した「睡眠指針」は、小学生は9~12時間、中学生は8~10時間の睡眠が目安としています(『朝日新聞』24年4月22日)。

が、実際はどうでしょう。みなさんの周囲を見回してみても、こんなに眠れている子どもはあまり見かけないのではないでしょうか。

今、子どもたちは本当に忙しく暮らしています。1日の大半を学校で過ごし、帰宅後はたくさんの宿題をこなし、塾や習い事もかけもちしていたりします。

息抜きにちょっとゲームをやったり、Youtubeを見ようものなら、もう深夜です。

睡眠は脳の成長に不可欠

睡眠はおとなにも重要なものですが、子どもにはなおさらです。脳の成長に不可欠だからです。

睡眠中に分泌する成長ホルモンは、骨や筋肉の発達、免疫力の向上、傷ついた細胞の修復などを行います。

ところが、睡眠不足になると、成長ホルモンやメラトニンが分泌しにくくなります。
免疫力が低下するので、風邪をひきやすいなど、病気にかかりやすくなり、治癒も遅れます。

前頭葉の働きが低下するため、やる気や注意力が落ちたり、落ち着きが無くなったり、キレやすくなったりもします。記憶を司る「海馬」の大きさは、寝不足気味の子ほど小さくなるとも言われています

しっかり眠って成績アップ

生活の流れを変えるのはそう簡単にはいきまませんが、「睡眠は大事!」と肝に銘じるだけでも、違ってきます。

少なくとも「睡眠時間を削って勉強する」のはコスパの悪い選択です。まずはゆっくり眠ること。それが前頭葉の機能を活性化させ、成績を上げることにもつながります。

相談室ブログ

数年間のコロナ禍の間、子どもたちの遊びがすっかりインドア中心になったこと、そして近年の夏の暑さもあって、今の時期は家でゲーム三昧‥というお子さんも多いかも知れません。
ゲームを楽しむこと自体は決して悪いことではないですし、今やゲームは子どもたち同士のコミュニケーションツールとしての役割を果たしている部分もあります。

適切なゲーム時間は?

「何時間以上やっていたらゲーム依存ですか?」という質問をいただくことがありますが、現在のところ、時間についての医学的な定義はありません。
いくつかの診断基準があり、ざっくりで言いますと、「ゲームの優先順位が他の何よりも高くなり、生活に支障が出てしまうこと」ということになります(これは大人を含めての基準です)。

ここでは「お子さんがゲーム・ネット依存にならないために、周囲の大人ができること」という観点から考えてみたいと思います。

ルールを作ること・守ること

「ゲームは○時間まで」あるいは「ゲームは宿題が終わってから」といったルールを設けられているご家庭も多いかと思います。
ルール設定は、子どもたちが時間管理や自分自身の行動をコントロールすることを学ぶ良い機会でもあります。
お子さんの年齢に合わせて、各ご家庭でルールを話し合っていただき、家族メンバーの皆さんで共有するようにしましょう。
決めたルールを紙に書いて、目に留まりやすい場所に貼っておくのもよいですね。

ルール設定が難しいときは

ルールを守るのが100%である必要はないのですが、あまりにもルールが機能していないと親御さんのお悩みは深くなりがちです。
かと言って、ネットを止める・スマホを取り上げる‥といった極端な行動はお子さんの反発を招きますし、親御さんが恨まれてしまって関係が悪化する恐れもありますので、あまりお勧めできません。
‘親子で話し合ってルール設定ができる’ところを目指していただくほうがよいでしょう。

お子さまと穏便に話し合うのが難しい場合は、カウンセラーという専門の第三者に相談していただくのも一つの手段です。
保護者の方が学校のスクールカウンセラーに相談していただくのもよいと思いますし、こちらのカウンセリングルームでもご相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。

相談室ブログ,依存症アディクション,生きづらさ

商品(モノ)ではなく、仮想通貨や投資などの「儲け話」を「人に紹介すれば稼げる」と勧誘する「モノなしマルチ」と呼ばれる商法が広がっています。

国民生活センターによると関連相談は、13年度は全体の2割程度でしたが、17年度には5割を超え、22年度以降は全国で3000件以上になったそう。被害者の半数が20代以下ということです(『日経新聞』23年7月10日)。

大学生から8億円以上集めた事件も

24年7月には、マッチングアプリを使って大学生ら約2000人をビジネススクールに入会させ8億円以上を集めていたとして元コンサルティング会社社長ら4人が逮捕される事件もありました。この事件の被害者の平均年齢は21.7歳でした。

その入口は、友人やSNS等で知り合った相手からの勧誘です。飲食店等に誘われ、「会わせたい人がいる」「面白いセミナーがある」などと言われて行ってみると・・・。そこで、ビジネスなどの儲け話を持ちかけられ、「人を紹介すれば報酬が得られる」と誘われるのがパターンのようです。

被害額は50万円程度が多い

20代を狙ったマルチ商法の被害額は50万円程度が多いのが特徴です。なぜなら、50万円というのは、給与明細などの収入を証明する書類が無くても消費者金融で借りられる金額だからです。つまりお金が無く正社員でもない大学生が「どうにかできる」額なのです。

先にあげた事件でも、ビジネススクールの入会金は42万9000円でした(『テレ朝NWES』24年7月12日)。

「モノなしマルチ」にはまる理由

それにしてもなぜ、無理をしてお金をかき集めてまでマルチにはまるのでしょうか。ひとつには、今、“普通”の大学生活を送るには、お金がかかるからです。

パソコンやスマホは今や大学生の必須アイテム。そしてそれらを不便無く使うには、さまざまなアプリや課金、サブスクなどが必要です。

ひとつひとつは数百円程度の支払いでも、いくつものアプリやサブスクを使えば、月々の出費はけっこうな額になります。こうしたアイテムが無ければ、友達もできません。

コロナ禍を経て、孤独や分断も一段と深まっています。リアルな関係が希薄化する中で、マッチングアプリで出会いを求める若者は増えました。しかもマルチ商法は「人のつながり」という、孤独の解消法を教えてくれるようなそぶりを見せます。

そして何より、今の社会を無事生き抜くには「お金を稼ぐ」ことは何より大事です。投資市場が右肩上がりに成長するなか、儲け話に敏感でなければ、「悲惨な将来が待っている」という漠然とした不安を抱えています。

「モノなしマルチ」はこうした、若者の心の隙間を狙っているのです。

相談室ブログ,発達障害

近年、発達障害の傾向のあるお子さんの保護者の方から

「特性があるから、中学から私立に行ったほうがいいと思って‥」

というお話を伺うことが増えました。

日頃カウンセラーの立場で、小学校・中学校、公立・私立それぞれで過ごしているお子さん・親御さんと多く接する機会がありますので、思う部分を書いてみたいと思います。

私立だから‘手厚い’?

中高一貫の私立校の中には、「発達特性のあるお子さんも積極的に受け入れています」と全面に出しているところもごく少数あるようですが、大部分の学校はそうではありません。
私立の学校に「高い学費を払っているのだから、手厚いサポートが受けられるだろう」という期待をして入ると、「意外にそうでもなかった」という失望感につながる可能性があるので注意が必要です。

中堅以上、とくに難関校と言われるような学校は、中高一貫の教育を通じて、難関大学に合格者を多数輩出することが学校としてのアピールポイントであったりします。
レベルの高い授業を提供することに対してはプロフェッショナルであっても、‘集団生活への適応が大変なお子さんへのサポート’というのはあまり意識されていないこともありえます。

特別支援教育は公立のみ

公立の小学校には、コミュニケーションについて課題を持つお子さんや、個別での学習サポートが必要なお子さん向けの教室(通称:通級)があり、通常の学級に在籍していても支援が受けられるようになっています。
中学も、公立ではこのようなシステムがあり、特別支援教育担当の教員が各学校に配置されています。

ですが、私立では基本このような担当教員はおらず、教室もありません。お子さんの特性への配慮はある程度汲んでもらえることもあると思いますが、定期的に通常の教室以外の場所で個別での対応をしてもらう、ということは難しい場合が多いでしょう。

複数の先生の意見を参考に

発達特性のあるお子さんの中学受験を検討されている場合、ご本人と関わりのある複数の方の意見を聞いてみることがお勧めです。
担任の先生を始め、学年主任や過去の担任、養護教諭(保健室の先生)やスクールカウンセラー、関わったことがあれば児童精神科の医師・心理士や特別支援・療育の先生の意見も参考になるでしょう。

中学受験の塾や家庭教師の先生は、とにかく受験を勧める、いわば営業の人ですので、中立ではありません。その情報だけに頼りすぎないほうがよいでしょう。

言うまでもありませんが、受験についてはお子さん本人の意志も大切です。しっかりと親子間でコミュニケーションを取りながら、無理のない選択ができると良いかと思います。

相談室ブログ,依存症アディクション

10代の子どもたちのカフェイン依存が問題になっています。

カフェインは、コーヒー、お茶、解熱鎮痛剤など、多くの飲み物や市販薬に含まれています。
コンビニなどで手軽に買うことができるエナジードリンクが入り口になることもあるそうです。
また、ドラッグストアやショッピングサイトでは、エナジードリンクよりもさらに大量に摂取しやすいカフェインの錠剤がいつでも購入できます。

中高生男子の1割強が常飲

日本体育大学による全国10~18歳の約6000人を対象にしたエナジードリンクに関する調査結果(2020年)によると、「飲んだことある」と答えた割合は下記の通りでした(『NHK NEWS WEB』24年1月19日)。

・小学生 男児45% 女児27%
・中学生 男子58% 女子32%
・高校生 男子67% 女子45%

同調査をさらに詳しく掲載している『東京新聞』(24年4月11日)によると、中高生男子の1割強が「1週間に1本以上は飲む」と答え、こうした生徒は「夜中に目が覚めやすい」「何もしたくない」といった状況に陥る傾向があると分かったそうです。

海外では摂取基準も

世界保健機関(WHO)は、妊婦のコーヒー摂取を1日3~4杯までにすることを呼びかけています。

海外では基準を設ける国もあり、たとえば英国食品基準庁(FSA)は「妊婦は1日当たり200ミリグラム」、カナダ保健省(HC)は「健康な成人は1日当たり400ミリグラム(マグカップのコーヒー3杯分)」としています。

しかし、日本は「個人差が大きい」(厚生労働省)との理由から基準が設けられていません(厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A」

いつの間にか依存症に

受験競争が白熱する中、「眠気覚まし」や「集中力アップ」を目的についつい手を伸ばしがちなカフェイン。しかし多量摂取が習慣化すると、いつの間にか依存症に陥っている可能性もあるので、ご注意を。