みなしごへの道(1)

母が認知症になりました。
正式に診断を受けたのは24年12月。しかし、振り返れば遡ること2年くらい前から「あれ?」と思うことが。
旅先で手回り品を入れたバッグが無いと大騒ぎ(衣類などを入れたバックの中から発見)。5年以上前の社会保険料控除の控えが「封筒にも入らない状態でポストに入っていた」と騒ぐ(発行元に確認するも、「そんなことはあり得ない」と断言)、通帳を落とし警察から連絡(「落としていない」と主張)、満期になった定期預金を「覚えがない」と手続きせず(私が一緒に行って無事解約)・・・などなど。
なのに少しでも記憶の怪しさを指摘すると、「私をボケにするな!」とものすごい剣幕で言うので、なかなかそれ以上は言い出せずにいました。
今思えば、あの全力で否定する感じが、まさに認知症の症状だったのだと思います。
MCIから認知症へ移行

しかし、いよいよ「これは検査に行かないと」と危機感を感じたのは、スマホを落としたり、車を電柱にぶつけて大破させたりという事件が続けざまに起きたからです。放っておいたら、金銭トラブルに巻き込まれたり、命にかかわる事故の可能性もあります。
頑固な母も、ひとりでは対処できないトラブルが重なって、しぶしぶ受診に応じてくれました。
認知症検査のひとつであるMSSE(簡易認知機能評価尺度) の結果は23点(30点満点中)。MMSEのカットオフ値は23点とされ、目安として23点以下で認知症の疑いがあると判断されます。
医師の所見は、「アルツハイマー型認知症。MCIから認知症へ移行をはじめている」というもの。投薬治療を始めるかどうかを問われました。
MCIの新薬を試せるか
今でこそ、アルツハイマー型認知症は薬を飲むことでその進行を遅らせるなど、少し希望が見えるようになりましたが、かつてはまさに「死に至る病」でした。記憶障害や失見当識が激しくなり、やがて歩行障害も始まって会話もできなくなり、衰弱していくのです。
母が診断を受けた時期は、ちょうどMCIの新薬として期待されるアルツハイマー病治療薬「レカネマブ (レケンビ)」の投与が可能になった時期でした。その投与の対処となるのはMMSE 22点以上。母はギリギリでした。調べると脳のむくみや出血などの副反応もあるとのこと。
どうするか1月弱考え、思い切って「新薬を試してみたい」と申し出ました。
(文責:C)













