カウンセリング」のページに心理療法とカウンセリングについての説明を追加しました。

これから心理相談を受けるかどうかご検討中の方は、こちらと「初めての方へ」「よくある質問」のページを併せてご覧いただくと、だいぶイメージがしやすくなるのではないかな、と思っています。
ご不明な点などございましたら、「お問い合わせ」フォーム、またはメール等でお気軽にお問い合わせください。

改めてカウンセリングを考える

ひと昔に前と比べると、心理相談・カウンセリングに対する敷居はだいぶ低くなってきているように感じますが、それでもやはり非日常と言いますか、特別・特殊な場所、という感覚はあるかもしれません。
悩みを打ち明けることで、それが解決につながっていくのかどうか、カウンセリングが実際にどう自分に変化をもたらすのか、といった部分は多くの方が疑問や不安を感じられる点かと思います。

「カウンセリングの効果は1回でわかりますか?」

という質問をお受けすることがあります。これはとても難しい質問です。というのは、どう感じるかはその方により個人差が大きいためです。
ですが、「これはちょっとどうかな??」というモヤモヤ感がある場合などは、そのカウンセリングは無理に続ける必要はないでしょう。

「効果って言われるとまだよくわからないけれど、話を聞いてもらってなんかスッキリしたな」とか「今まで気づかなかった部分に気づけた」というような感想があるとすれば、そのカウンセリングはこれから展開を見せていく可能性が高いと言えます。そのような感覚をまずは確かめることから、お勧めしたいと思います。

臨床心理学、それは「人が生きる知恵」

私自身も、今から20年ほど前、駆け出しのカウンセラーであった頃、先輩のベテランカウンセラーに教育分析(カウンセラーが受けるカウンセリングのことをこう呼びます)を受けていましたが、自分ではまったく考えたことがないテーマ(自分自身の心理的な課題)に気づいたり、芸術療法を受ける側になって「心理療法で癒されるってこういうことか」と実感したりしたことは今でもはっきりと覚えています。

さまざまなお悩みにお応えするため、臨床心理学自体もどんどん進歩をしてきていますし、それをベースとして実際のケアを行なう私たち臨床心理士も自己研鑽を積み重ねてきています。

「心理学とは、人間がよりよく生きていくための知恵である」

というフレーズを本で目にしました(何の本であったか失念してしまったのが残念です!)。自分自身も一人の人間としてその知恵に助けられてきていますし、またこれからご縁があって人生の‘伴走’をさせていただく方とも、その知恵をシェアしていくことができればと考えています。

「立命館大生の1割『退学視野』」(2020年8月20日付『東京新聞』

 そんな衝撃的な記事を読みました。立命館大学(京都市)の学生新聞のアンケート調査によると、学部生の2.3%が退学を本格的に考えており、「どうするか考えている」は7.5%。合わせて9.8%の学生が退学を視野に入れているとのこと!

 また、「休学を視野に入れている」と答えた学生は25.6%で、なんと4分の1に当たります。
 
 同記事によると、低学年や学費が高い学部の学生は、退学や休学を検討する割合が高い傾向にあり、退学や休学を検討する学生は、ウェブではなく対面授業を希望する人が多かったそうです。

 調査を担当した学生は「今の学生がどういう思いなのか、目に見える形で明らかにしたかった。退学や休学を考える学生が多く、驚いた」(同記事)とコメントしています。

私の実感

 結果に衝撃は受けたものの、私の実感としては「さもありなん」という感じです。

 実は先日、知り合いの大学生から次のような話を聞いていたのです。

「学んでいるというより、課題をこなしているという感じ。友達には会えないし、課題が多すぎてつらい」

「課題で手がいっぱい。夢だった留学もできないし、研修も受けられない。友達にも会えないし、ずっと家にいるから気分も沈みがち」

 また、大学で教鞭を執っている何人かからは、こんな話も聞きました。

「コロナが無かったら退学なんて考えなかっただろう学生が、退学すると言い出した。とくに可哀想なのは1年生。ただの1度も大学に来て授業を受けたことがない学生がほとんど。自宅でたったひとり、ひたすら課題をこなすオンデマンド授業やライブ配信授業を受けていたら、それは行き詰まりも感じる」

「地方から来ている学生の中には、オンライン授業なら実家で受けても変わらないと思い、親に相談したら『周囲の目があるから帰ってくるなと言われた』という学生も。周囲に知りあいも無く、コロナで家にこもっているから友達もできない。そんな状態で頑張って学べというほうが無理」

子どもの心身の発達は?

「いつでも、どこでも、同じ質の授業が受けられる」と、オンライン授業のいいところだけがもてはやされ、教育界の救世主のように扱われています。

国は、2000億円以上の補正予算を計上し、2023年度の実現を目指してきた1人1台の学習用端末とネット環境の整備を図る「GIGAスクール構想」を前倒しすると言っています。(コロナで文科省,GIGAスクール構想前倒し,「7月末までに1人1台の実現を」
遠隔授業も推進しており、遠隔授業に積極的な大学には補助金まで出すそうです(大学等における遠隔授業の環境構築の加速による学修機会の確保)。

もちろん、教育にインターネット環境があることは重要ですし、オンライン授業すべてを否定はしません。利点もたくさんあることは、私も知っています。しかしそれは、あくまでも補完的なものであり、教育の中心に置かれるものではありません。

本来、教育とは、たんに知識を吸収することだけを指すのではありません。仲間の意見に耳を傾けたり、教員の価値観に触れたり、違う意見の人と議論したり、得手不得手があるなかで助け合い、学び合ったりしながら、人格形成まで行うからこそ、「教育」です。

授業だけではない、友人との関わりや他愛も無いやりとりの中で、信頼関係を育てたり、共感能力を育んだりしながら、一生の友をつくっていくことも、人生を豊かに、幸せに生きていくために無くてはならない経験です。

このような体験ができないまま成長することが当たり前になってしまったら。大学ならまだしも、小中学校までそのような状況になってしまったら。

子どもの心身の発達は、果たしてきちんと保障されるのか。心配はつきません。

家で遊ぶ子ども

カウンセラーの仕事を通して、日々たくさんの子どもたちと接する機会があります。

今年はコロナの影響で3〜5月まで3ヶ月間学校はお休み、そして夏真っ盛りの今も例年あるようなイベントはほぼなくなってしまい、学校か家か(地域によりますが、まだ夏休みに入っていない学校も多くあります)という生活を送っている子が多いようです。

ゲームがおうち生活を救う?

さぞかし退屈だろうなと思い「おうちでは何してる?」「休校の間はどうしてた?」と聞くと、9割以上の確率で答えは「ゲームしてた」。
そして、いくらなんでも何ヶ月もずっとしていたら飽きるのでは?とゲーマーではない私は勝手に想像してさらに質問するのですが、どうやら大半の子どもは飽きることなくゲームを楽しんでいるようです。

また、今の時代、ゲームはゲーム機だけで完結するものではなく、インターネットを通じて友だちと一緒にゲーム内の‘戦い’に出たり、仮想空間で訪問し合っておしゃべりしたり、と現実の友人関係と深くリンクしています。

そして、この傾向自体はさほど真新しいことではないですが、コロナ禍の影響もあってか、ここ最近、低年齢化が進んでいることをはっきりと感じます。

友だち関係もオンライン化

5〜10年前には携帯・スマホを持ち始めるのが中学〜高校生、オンラインゲームをし始めるのもこの時期が多かったように記憶していますが、今は小学生の大半がスマホを持っていたり、タブレットが自宅にあったりして、4〜5年生にもなるとオンラインで友だちと交流することがスタンダードになっています。

このようなご時世ですし、もちろんメリットもあります。
友だちと「密」な状態になって遊ぶのは控えなければ、というストレスを感じずに、ゲームの中では自由に交流できるわけですし、実際に「ゲームを通じて今まで親しくなかったクラスの子と仲良くなった」という話を聞くこともあります。

子どもの発達と遊び

しかし、一方で、学童期は心理学では‘ギャングエイジ’とも呼ばれ、子どもグループを作って遊び、その中で社会性を身につけていく大切な時期と考えられています。

果たして「ゲームが一番の楽しみで、ゲームがないと友だちどう遊んでいいかわからない」というのが当たり前になってしまって良いのだろうか?という不安も沸き起こります。

今はある意味‘非常事態’ですので、止むを得ずという部分も多くあります。が、どうかこれが定着しすぎず、また子どもたちが屋外で身体を動かして遊び、遊びのルールを巡ってちょっと揉めてみたり、でもそれを解決してまた仲良く遊んで‥という、一昔前の当たり前を取り戻してほしい、と願わずにはいられません。