感染不安

コロナ不安が広がり、体調を崩す人が少なくありません。

「自分はコロナにかかって死んでしまうのではないか」
「自分や家族が感染してしまったらどうしよう」
「いったいどこにコロナがあるのかと思うと、外に出るのが怖い」

相談のなかでも、そんなことをつぶやく方がいらっしゃいます。

不安」を感じるのはもっともなのですが、これはなかなかやっかいな感情です。
恐れている対象がはっきりしている「恐怖」とは違って、「不安」の対象は漠然としています。そのため対処のしようが無く、また何をどこまでやっても安心することができないのです。

不安と恐怖を分けて

不安

世の中には、出所もよく分からない、真実かどうかも見極めづらい、人を不安にさせる情報が飛び交っています。
「『安心しよう』とネット情報を集めれば集めるほど不安になってしまう」という負のスパイラルに陥りがちです。

まずは不安と恐怖をきちんと分けましょう。恐怖にはきちんと対処できるよう、情報を集めることも大切です。

そのときには、情報に飲み込まれないよう、「私はこのことを知りたいのだ」という意思を持って情報に触れましょう。たとえ専門家や政治家と呼ばれる人の話であっても、「これはこの人の立場から見た1つの意見に過ぎない」と批判的な視点を持って見ることも重要です。

それが難しいなら、思い切って「SNSから離れる、コロナ関連のニュースは見ない」ようにするのも一案かもしれません。

「日常性の連続」の分断

それでなくとも私たちは、不安を感じやすい状況に置かれています。

マスクの買い占めに始まり、トイレットペーパーなど日用品の不足。非常事態宣言による大型店舗の休業や閑散とした駅の構内や真っ暗な飲食店街。そして“自粛”という名の行動制限は、私たちから日常の楽しみを奪い、「一日中、家族が同じ屋根の下にいる」というような“非日常”をもたらしました。

そうして、私たちが安心して暮らしていくための生活の基盤を大きく揺さぶったのです。

私たちが安全感を持って生きていくめには、一定の秩序と連続性が必要です。「今日は昨日の続き」で、「明日もきっと今日と同じような一日だろう」という予測可能な日常性が無くてはなりません。

戦争や災害をはじめ、自分の身の危険を感じるような体験などが大きなトラウマとなるのはこうした「日常性の連続」が分断されてしまうからです。

濃厚接触無しに健康は保てない

そんな時だからこそ、「StayConnected」。実はこれ、山田養蜂所の新聞広告(『東京新聞』2020年5月24日)に載っていたフレーズでした。

「ウイルスに負けず健やかに暮らす、その羅針盤となる5つのこと」のひとつが「つながりを保とうStayConnected」だったのです。

「三密を避ける」「ソーシャルディスタンスを取る」「人との接触を避け、人と会うとにはマスクを」などが推奨される昨今、意識的に人とつながろうとすることが大切です。

ほ乳類であり、霊長類である人間は、本来、濃密な身体接触、人間関係無しに健康に生きることはできません。つながりが薄れていけば、人は不安や抑うつ状態になりやすくなり、体長不良にも陥りやすくなります。

どうやってつながりをつくるのか

オンラインの飲み会、オンライン授業、テレワークなどがにわかに盛んとなり、「新しい生活様式」として定着しようとしています。

買い物をするときも、駅を通り抜けるときも、病院などの受付でも、一枚の透明なビニールやアクリル板が立ちはだかっています。

触れ合うことも同じ空気を感じることも無いなかで、マスクをして表情を伝えあうことも難しいなかで、人間にとって必要不可欠なつながりをどうやって保つのか。

「つながりをつくる」ことを仕事とするCAFICに何ができるのか。常に考え続けなければなりません。

東京の都心部だけでも数えきれないほどたくさんある心理相談機関。その中でもCAFICだからこそできること、を私たちは考えてきました。

CAFICの心理相談

まず、特徴として一番に挙げられることは、一つの心理療法の枠に捉われていない、ということです。

「心理療法」という言葉に馴染みのない方も多くいらっしゃるかと思いますが、簡単に言うと心理相談をおこなう上での‘流派’のようなものです。
例えば最近ですと、「認知行動療法」が一般的に知られるようになってきていますが、これも心理療法の一種です。
認知行動療法は治療効果が確認しやすい等長所もたくさんある手法ですが、この手法のみで全てのお悩みが解決するかというと、答えは‘NO’なのです。

つまり、オールマイティな心理療法というのは存在せず、どのようなお悩みにどのような方法でアプローチしていくかは、カウンセラーの技量が問われるところでもあります。

まずはご相談内容をお伺いしながら、適していると思われる手法を適宜ご提案させていただくスタイルになりますので、ご相談者様からも質問やご希望など、お気軽におっしゃっていただければと思います。

心理相談+α

二点目の特徴としては、心理相談だけでなく、ケースワークや情報提供といった支援も盛り込んでいることです。

例えば、「不登校で中学校に通えていない、高校はどうしよう」というご相談の場合。
カウンセリングを通して心身のコンディションを整えていくことももちろん大切ですが、同じくらい重要なのが、不登校生にも多くの選択肢があることを知り、最も自分に適した環境を選択できることです。

「不登校でもふつうの公立や私立は受験できる?」「通信制とサポート校の違いは?」「いわゆる‘普通校’に行けなくても人生のハンデにならない?」——そのような疑問をひとつひとつ解決していくことが安心感、そして希望につながります。

不登校は一例です。
他にも「別居や離婚をする場合の手続き・制度について知りたい」「そうなった場合の子どもの面会や養育費はどうなるのか」等、一般的な心理相談に‘プラスアルファ’(=情報提供や専門相談)でお応えできます。

人生のトータルサポート'を担えるような社会資源をめざして、CAFICの総合相談メニューは今後さらに充実させていく予定です。