相談室ブログ,子どもに関する相談(問題)

家で遊ぶ子ども

カウンセラーの仕事を通して、日々たくさんの子どもたちと接する機会があります。

今年はコロナの影響で3〜5月まで3ヶ月間学校はお休み、そして夏真っ盛りの今も例年あるようなイベントはほぼなくなってしまい、学校か家か(地域によりますが、まだ夏休みに入っていない学校も多くあります)という生活を送っている子が多いようです。

ゲームがおうち生活を救う?

さぞかし退屈だろうなと思い「おうちでは何してる?」「休校の間はどうしてた?」と聞くと、9割以上の確率で答えは「ゲームしてた」。
そして、いくらなんでも何ヶ月もずっとしていたら飽きるのでは?とゲーマーではない私は勝手に想像してさらに質問するのですが、どうやら大半の子どもは飽きることなくゲームを楽しんでいるようです。

また、今の時代、ゲームはゲーム機だけで完結するものではなく、インターネットを通じて友だちと一緒にゲーム内の‘戦い’に出たり、仮想空間で訪問し合っておしゃべりしたり、と現実の友人関係と深くリンクしています。

そして、この傾向自体はさほど真新しいことではないですが、コロナ禍の影響もあってか、ここ最近、低年齢化が進んでいることをはっきりと感じます。

友だち関係もオンライン化

5〜10年前には携帯・スマホを持ち始めるのが中学〜高校生、オンラインゲームをし始めるのもこの時期が多かったように記憶していますが、今は小学生の大半がスマホを持っていたり、タブレットが自宅にあったりして、4〜5年生にもなるとオンラインで友だちと交流することがスタンダードになっています。

このようなご時世ですし、もちろんメリットもあります。
友だちと「密」な状態になって遊ぶのは控えなければ、というストレスを感じずに、ゲームの中では自由に交流できるわけですし、実際に「ゲームを通じて今まで親しくなかったクラスの子と仲良くなった」という話を聞くこともあります。

子どもの発達と遊び

しかし、一方で、学童期は心理学では‘ギャングエイジ’とも呼ばれ、子どもグループを作って遊び、その中で社会性を身につけていく大切な時期と考えられています。

果たして「ゲームが一番の楽しみで、ゲームがないと友だちどう遊んでいいかわからない」というのが当たり前になってしまって良いのだろうか?という不安も沸き起こります。

今はある意味‘非常事態’ですので、止むを得ずという部分も多くあります。が、どうかこれが定着しすぎず、また子どもたちが屋外で身体を動かして遊び、遊びのルールを巡ってちょっと揉めてみたり、でもそれを解決してまた仲良く遊んで‥という、一昔前の当たり前を取り戻してほしい、と願わずにはいられません。

相談室ブログ,不登校,子どもに関する相談(問題)

新型コロナ感染症による外出自粛期間、おとなはテレワークが推奨され、学校は休校。
そして、学校の授業のオンライン化はできないのか?という議論が突如(と私は感じました)巻き起こりました。

今は小中高校で通常授業が再開され、またその議論は少し下火になっているようですが。

実際、私立学校や大学の多くがオンライン化を急ピッチで準備し稼働、大学を中心に現在も続いているようです。
公立の小中学校でもオンラインの授業を行なっている自治体があり、不登校生にとってはそれが学習意欲向上につながっている、という報告も目にしました。(6月12日NHKニュースウォッチ9より)

オンライン授業が子どもたちを救う?

現在、日本全国に十数万人とも二十万人とも言われる不登校生。学校の授業をオンラインにすれば、たくさんの子どもが救われるのか?

確かに海外では自宅学習が選べる所もある、などと聞いたこともありますし、疾患等のために学校に通いたくても通えない、でも院内学級にも在籍していない、という子どもにとっては救いの一手になるかもしれません。

と考えると、この流れを契機として、感染症の流行等に関わらず、公教育の一つの選択肢として、国・自治体が整備を進めることも良いのかな、という気がします。

学校教育と不登校

ただ、その一方で、私が今まで出会ってきたたくさんの不登校生たちが、オンラインの授業が始まったからと言って、喜んでそれを受講して、それによって学校復帰意欲が高まるか?と言うと、半数以上、想像では7〜8割くらいはあてはまらないように思います。

学校の授業を受けたい・または同様の学習をしたいと思っている子は、在籍している学校で部分登校や別室登校をしていたり、自治体が設置しているフリースクール(適応指導教室・教育支援センターなど名称はさまざまです)に通っていたり、あるいは個別指導の塾や家庭教師やらで、すでになんらかの形で教育を受ける機会を確保していることが多いです。

‘授業’だけの問題?学校教育と不登校

問題なのは、その段階にまで至っていない子、つまり「オンラインで授業をやっているよ」と言われても心に響かない子どもたちがたくさんいるのでは?ということのように思います。

学校教育に無関心や拒絶反応を示す子どもたちは、オンライン化では救いきれません。そして、彼らを‘リアルな’人間社会の中に戻していく機会もまた、オンラインでは提供しきれないように思います。

決してオンライン化の流れを否定するわけではないし、もちろんメリットもあるとは思います。が、「導入すれば不登校生が減るか」というと、そんな単純な問題ではないと感じます。

このコロナ禍での試行錯誤を経て、その先に見えてくる課題に私たちおとなが一つ一つ向き合い、そしてまた試行錯誤をする、という過程はまだまだ続いていくように思います。

相談室ブログ,子どもに関する相談(問題)

学校再開

緊急事態宣言が解除となり、少しずつ日常が戻ってきました。
6月上旬の今、都内の多くの学校では分散登校となっています。

久しぶりに集団授業が再開し、定期的に学校に行く生活が戻ってきている‥とは言え、まだ3日に1日程度の登校で、1日数時間〜半日程度からスタートしている学校が多いようです。

コロナ休校後の学校

フェイスシールド

そして、‘新しい日常’の元では、
「常にマスク着用」
「友だちとのスキンシップは禁止」
「お昼も離れて静かに食べる」
など、新しいルールがたくさん。
学校によっては、教員がマスクに加えてフェイスシールドも着用して、まだまだ非常事態、という雰囲気で授業をしています。

「コロナに立ち向かう」「感染を広げない」という意味で、決してこれらは間違っていないですし、必要なことでしょう。
放課後にイスや机・ドアや廊下の手すりなど隅々まで除菌のための拭き掃除をしている先生たちを見ると、本当に頭が下がる思いです。

さらに慣れない動画配信をおこなったり、分散登校のために同じ授業をふだんの3倍繰り返し行わなければならなかったり、そのご苦労もまた大変なものです。

子どもたちにとっての‘新しい日常’

しかし、その一方で、子どもたちの立場で考えてみると、なんと不自由で窮屈な学校生活!とかわいそうにもなってしまいます。
もし、私が中学生だったら、学校に行っても周りの子と気軽におしゃべりができなくて、部活も行事もなかったら‥‥。
たぶん学校なんて全然楽しくない!と不満だらけになるでしょうし、「大人もテレワークとか言って家にいるなら、私も学校行きたくないなぁ」と本気で思うだろうと想像するのです。

教育現場の‘非常事態’はコロナが終息するまで、当面は続くことになりそうです。
今は子どもたち一人一人にとっても、間違いなく試練の時。日常の楽しみが奪われてしまい、それがいつになったら元に戻るのかわからない、そんな不透明感の中にみんないるのです。

いつもに増して、今は「学校に行きたくないなぁ」と思ってあたりまえ。
——そんなふうに大人が子の気持ちを汲み取ってあげられると、学校で不完全燃焼な子どもたちも少し救われる気持ちになるのではないかなぁ、と思う今日この頃です。