「顔パンツ」という言葉を知ったとき、衝撃とともに妙な納得感に襲われました。

新型コロナウイルスの感染対策だったはずのマスクですが、常態化し、すでに「マスクを外したくない」、「マスクを外すのは、人前で下着を脱ぐのと同じ」と考える人が増えているというのです。

乳幼児の発達も機具される

オミクロン株が猛威を振るった22年夏。日本は4週連続で世界最多の新規感染者数を記録し、10代以下にも感染が拡大しました。

乳幼児でもマスク着用が当たり前になりました。感染を心配するのと同じくらい、マスクが子どもの発達に与える影響を危惧する声もあります。視覚野や聴覚野は就学前にかけて発達し、他者の表情や口元を見て真似ながら感情や共感能力、言葉などを修得します。濃密な身体接触も脳の発達には欠かせません。

マスクへの精神的な依存

そして心配されたのが、マスクへの精神的な依存です。冒頭でも書いたように、すでに「顔パンツ」とまで呼ばれるマスク。10代ではそのマスクを外すことへの抵抗が大きくなっています。

調査会社・日本インフォメーションによると、「コロナ収束後もマスクを使用するか」の質問に対し、10代は男女とも約5割が「いつも必ず使用」か「できるだけ使用」と回答(『東京新聞』22年5月10日)。その理由は「かわいい、きれい、かっこよく見える」が最多。これはもう。感染対策のためのアイテムではありません。

マスクは“諸刃の剣”

もともと日本人は他者の目を気にしやすく、社会不安障害になりやすいとも言われています。最も発症しやすいのは10代半ば。容貌や本心を隠せるマスクは、他者の目から自分を守ることができる一方、生き生きとした“本当の自分”を覆ってしまう諸刃の剣となりかねません。

“本当の自分”を隠したままでは、だれかときちんとつながることは難しくなります。

どうかコロナが収束しますように

それでなくとも、小中高生の自殺が増加し、小学5年〜中学3年の1〜2割にうつ症状が見られるのです(『日経新聞』22年5月6日)。
マスクによって、さらに人との関係性がつくりにくくなるのではないかと心配になります。

どうか来年はマスクを外し、触れ合いながら子どもたちが遊べる環境に戻りますように。コロナが収束しすることを心より願っております。