本当に発達障害?

発達障害と呼ばれる子どもが増加の一途をたどっていることが様々なデータで示されています。

発達障害者支援法ができた2004年以来、右肩上り。2006年に発達障害の児童数は7000人余りだったのが、2019年には7万人を超えています。とくに目立つのがADHD(注意欠陥多動性障害)の子どもたちです。10年で6倍になりました。

文部科学省『特別支援教育に関する調査』によると、2020年に障害に応じた特別な指導を通級指導教室などで行う特別支援教育を実施した子どもの数は16万4,693人。前年より3万人近く増加しました。

これにともない子どもへの向精神薬の処方も増えています。
医療経済研究機構が2014年に発表した研究によれば、13歳〜18歳の患者のうちADHD治療薬を処方された割合は、2002年〜2004年と2008年〜2010年を比較すると、2.5倍。抗うつ薬、抗精神病薬はそれぞれ1.4倍となっています。

わかりにくい子どものSOS

一方で、「発達障害の子どもが増加した」というデータに疑問を挟む声もあります。データの取り方や問診中心の診断(判断)等によって、本当に発達障害かどうかわからないのに、診断がついてしまうケースがあることは、常々、指摘されています。

また、発達障害、とくにADHDとされる子どもの“症状”が、虐待などの安心できない家庭環境で育つ子どもの言動ととてもよく似ており、鑑別が難しいということも、よく知られた通りです。

子どもは、自分の育つべき場所が安心・安全でないとき、困ったり、助けてほしいことがあるとき、おとなにSOSを出します。
そのSOSの方法は、必ずしもわかりやすい言葉で発せられるとは限りません。
ときに暴言や暴力、または無言の抵抗のような、おとなには理解しづらい、けれども子どもが今できる精一杯のかたちで表現されることもあります。

その表現方法が、ADHDなど発達障害と呼ばれる子どもたちの症状と似ていることも、少なくありません。

立ち止まって考えてみる

安易な投薬治療は、そうした子どものSOSを押さえ込み、子どもが必死で発しているメッセージを封印してしまうことにもなりかねません。
もしかしたら、子どもの置かれた環境や、学校などの問題があるかもしれないのに、その部分が顧みられることなく、「発達障害だから」と片付けられてしまっているケースがあるかもしれないのです。

「言うことを聞いてくれない」
「どうしてこんなことをするのかわからない」
「なぜほかのこと同じことができないの?」

そんな理解しにくい子どもの言動の裏にあるメッセージ。
「それは何なのか?」と、立ち止まって考えてみてはどうでしょうか。

たとえ発達障害があるとしても、周囲の環境が落ち着いていて、安全で、「自分の味方になってくれるおとながいる」と確信できれば、子どもの“症状(問題行動)”は改善されていきます。

Posted by CAFIC池袋