都市部での中学受験熱は、少子化傾向と相反して加熱する一方であるように感じます。
中学受験を目指すご家庭が増えているのは、もちろんさまざまなメリットがあるから。ではあるのですが、お子さんの心の健康について関わる者としては、そのデメリットも気になるところです。

中学受験準備は低学年から?!

近年、受験を意識しての勉強をスタートする時期が早まっている印象です。
小学校低学年から学校の勉強だけでなく塾に通ったり、プラスαの課題に取り組んだり、そしてそれ以外の習い事もしていたり。
それを充実していると言うこともできるのでしょうが、やはり人生で一度きりの子ども時代。もう少しのびのびと子どもらしく、気楽に過ごさせてあげたいような気もしてしまうのです。

中には、
「うちの子は塾が好きで喜んで行っています」
「勉強も苦痛ではないようなので」
というご家庭もあるかと思うのですが、親御さんは日々どなりながら、お子さんは泣きながら‥というご家庭は、小学生の時期をどう過ごすか、今一度考えられてみてはいかがでしょうか。

中学受験とご家族の向き合い方

中学受験が終わったあとに息切れしてしまい、不登校になったり、情緒不安定や問題行動などメンタルの不調が関連すると思われる状態でお困りのお子さんを、カウンセラーという立場上、今までたくさん見てきました。

子ども時代にしっかりと遊び、‘楽しかった’と言える時間をたくさん過ごしていると、そのお子さんが、その後、思春期・青年期から社会人として自立するまでの、言わば激動の時期を、たくましく生き抜いていくエネルギーになります。

「‘勝ち組’にならないとこの子の人生、損してしまうのでは」という親心を決して否定するつもりはありませんし、アンチ中学受験主義、というわけでもありません。
ですが、中には、中学受験がお子さんの心身を不調に追いやってしまったり、受験をきっかけに親子関係がぎくしゃくしてしまい、後々に影響してしまったりすることもあります。

それぞれのご家庭で、そのお子様にあった教育環境や学習スタイルを考えてあげられると、そして無理のない・負荷のかかりすぎない適切な課題設定をしていけるとよいのかな、と感じる今日この頃です。

例年にない梅雨明けと酷暑が続いています。気になるのが、「子どものマスク着用」です。

街を歩いていると、修学前と思われる子どももほとんどがマスクをしています。もう少し、年齢が上がった子どもたちのも、部活の行き帰り、登下校の際など、明らかにひとりでいる場合でも、子どもたちがマスクを外している姿はほとんどみません。

「感染から身を守る」というよりも、「みんながマスクをしているのに、自分だけ外すのははばかられる」という空気を感じます。

就学前の子どもは不要のはず

厚生労働省は、 「人との距離が十分に確保できるとき、屋内でも会話がほとんど無い場合は着用の必要はない」。2歳以上、修学前の子どもについては、「他者との距離にかかわらず一律に着用は勧めない」(マスクの着用について)としています。

小さな子どもの発達への影響

とくに気になるのは、小さい子どもの発達への影響です。
「表情が乏しい」「発音・発達に問題を感じる」「人見知りをしなくなった」(『読売新聞』22年6月1日)などの、保育園での調査結果もあります

視覚野や聴覚野は就学前に発達します。他者の表情を見てまねることで、感情表現や共感能力を身につけます。おとなの口元を見てまねることで言葉を獲得し、身体接触は能を活性化させます(『日経新聞』22年6月6日)。

ところがマスクによって、こうした機会が奪われてしまっているのです。

ネット情報に頼る前に

子どもの発達や、そのために必要な要素をしっかり知っておくことは重要です。

同調圧力の強い日本では、なかなか周囲と違う行動はとりにくいもの。玉石混淆のネット情報に頼る前に、気軽に専門家に尋ねてみてください(新米パパ・ママ講座)。