タイトルのご質問をいただくことがよくあります。
わかりやすく反抗期の特徴が見られるお子さんもいれば、それまでととくに変わらない、あるいは「ちょっとしゃべらなくなったかな?」くらいの変化、というお子さんも少なくありません。何が普通、とは一概に言えないように思います。

揺れ動く思春期のこころ

思春期と言われる小学校高学年から高校生にかけての時期は、身体変化だけでなく、心理的にも大きな変化が見られます。

 「自分自身が何者なのか」
 「自分は周囲からどう見られているのか」
 「自分の置かれている環境は他者と比べてどうなのか」

等々、抽象的な思考を多くするようになり、それが思春期の心には苦しかったり、葛藤や混乱をもたらしたりもします。
ですが、このようなプロセスの中で自我が確立されていき、思春期の一大テーマである、精神的な自立へとつながっていきます。

周囲の大人からすると、「愛想がない」「態度が悪い」という様子であったとしても、その裏側では、思春期なりの苦悩があり、精一杯生きている、と捉えることもできるのです。

思春期からの親子の‘距離感’

反抗期の有無に関わらず言えることは、
「思春期から20代前半にかけての時期は、‘自立していく存在’であることを親御さんが受け入れ、必要に応じてサポートし、でも手放していくこと」
であると感じます。
サポートすることと手放すこと。これは相反しているようにも感じられると思います

この時期は、当然ながら、まだお子さん自身では対応しきれないこと、親御さんのサポートが必要な場面が多々あります。
ですが、お子さんが直面する課題・難題をすべて親御さんがあたかも本人であるかのように全力で受け止め、全力でサポートをする‥というような関わり方は、徐々に変えていくことをお勧めします

お子さんの学校生活・友だち関係・進路・就職‥等々、親御さんにとっては気がかりな問題が次々と起こるかもしれません。ですが、お子さんはいずれ親御さんの手を離れ、自分の足で立ち、適切な判断や対応を自分自身でおこなえるようになる必要があります。

‘お子さんのつらい感情を親御さんが一緒に受け止め、解決に導いてあげる’というよりも、‘感情には寄り添いつつ、一緒に考えるけれど、できるだけ本人が決め、動いていけるように見守る’くらいの立ち位置がほどよい距離感ではないかと思います。

CAFICはご本人・ご家族の方の‘困った’を後方支援します

思春期からのほどよい距離感、そしてサポートしつつ手放す。
これがスムーズなお子さんの自立を促し、かつ引きこもり予防にもなると考えられます。(引きこもりのことについては、また別の機会にもう少し詳しく書きたいと思います。

一人一人異なる思春期は、大人への入口となる大切な期間です。
へこんだり、立ち止まってもいい、ロスタイムがあったり回り道があってもいい。
ただ大きく深みにはまらず、できるだけ継続して社会参加できる状態であってほしいと願っています。

「子どもために離婚だけはしたくない」

そんな話をよく聞きます。もちろん、子どもが大好きな大好きな“両親と暮らす”ことはとても大切です。

「両親がそろっている方がいいか」「そうでない方がいいか」と尋ねられれば、答えは間違いなく前者です。
しかしそれは、「両親共にひとつ屋根の下で暮らしていればいい」という意味ではありません。両親がつくる家族が、家族としての機能をちゃんと持っているかどうかが重要になります。

具体的に言えば、そこに帰れば安らぐことができたり、慰められたりし、具合が悪かったり落ち込んでいたら気にかけてもらい、エネルギーを充填できる場所に家族がなっているのかということです。

そんな家族をつくっていくためには、まずは両親がお互いを尊敬し合い、尊重し合って、支え合ったり、励まし合ったり、エネルギー交換をし合ったりできるような関係でなければなりません。

ときにけんかをしたり、争ったりすることはあるでしょうが、少し時間が経てば落ち着いて話し合うことができ、きちんと謝ったり、仲直りをしながら、「一緒にやっていく」意思を示し合えるような関係でなければならないのです。

そんな夫婦としての関係が崩壊しているのにもかかわらず、「子どものため」との理由で婚姻を続けることは、子どもにとって返って残酷です。
子どもに両親の離婚の責任を負わせることになりますし、子どもが「自分のせいで両親は別れられないのだ」と、自分を“両親の不幸の元凶”のように感じることもあるでしょう。

「愛情および理解ある雰囲気」を提供できない家族

関係性が壊れた夫婦がつくる家族は、本来、家族が子どもに提供するべき、「愛情および理解ある雰囲気」(「子どもの権利条約」前文)を与えられません。

子どもは両親のことが心配で、安心してわがままを言ったり、思いや願いを表現するなど、“子どもらしく”生きることができなくなります。

こうした家族には、諍いやトラブルが絶えず、いつもひんやりとした空気が漂っています。子どもは常に両親のののしり合いの渦中におかれていつもビクビクしています。冷たい雰囲気のなかでは気持ちが休まる間もないでしょう。

学校や友達関係などで心配事があっても、「大変な両親にこれ以上、負担をかけたくない」と口にすることができないままになってしまいます。

「自分が心配をかけたらかろうじて維持している家族が壊れてしまうかもしれない」などと考え、次第に子どもは自分の思いや願いを後回しにし、親の機嫌や顔色をうかがうようになっていきます。本来であれば、親に心配されたり、ねぎらったりするべきなのに、「余裕の無い親にそんなことはしてもらえない」と、逆に親を気遣う、一見、親孝行な良い子になっていったりします。

親を喜ばせようと異常なまでに勉強を頑張ったり、おとな社会が期待する結果を出そうと頑張ります。

悲しい人生を子どもが歩まぬよう

一方で、いつでも両親のことが気になり、家族のことで頭がいっぱいになっているので、平気な顔を装っていても、心は常に落ち着かず、授業に集中できなかったり、ぼーっとしてしまったりして、成績が伸びない、学力が付かないというようなことも起こります。

不安が強いためいらいらし、友達づきあいがうまくいかないことも多々あります。そのため、「発達障害」と思われてしまうこともあるでしょう。

また、まだ現実的な判断能力がおとなほどには育っていない子どもは、「自分のせいで両親は仲が悪くなった」と考えたり、「こんなに大変なのに、自分がいるから両親は離婚できないのだ」と、不要な罪悪感を持ってしまったりもします。

子どもが、そんな悲しい人生を歩んで行くことにならないよう、なるべく早く夫婦関係の修が必要です。

また、子どもがおとなの顔色ばかりうかがって過剰適応を起こしていないかどうか、いわゆる“問題行動”が発達障害から生じているのか、それとも安心できない家庭環境のためなのかなどの鑑別も必要になります。

CAFICでは夫婦関係修復に向けたカップルカウンセリングだけでなく、乳幼児期からの発達や学童期・思春期に起こりがちな問題にも対応できます。別居・離婚を考え始めたときには、未成年の子どもがいる方向けの専門相談もあります。

夫婦にとって、子どもにとって最もよい選択ができるよう、サポートさせていただきます。