厚生労働省は、全国の児童相談所に今年1~6月に寄せられた虐待相談の対応件数(速報値)をまとめました。9万8814件(2020年9月30日)で、前年同時期と比べて8948件(10%)増えたものの、緊急事態宣言が出された4月から増加率が鈍化しているそうです。
コロナの影響で親子ともに自宅で過ごす時間が増え、虐待の増加が懸念されていたのは取り越し苦労だった・・・と安心したいところですが、「学校の休校などで虐待が見つかりにくくなっている」(同省)そうです。

虐待の数字を押し上げる夫婦の面前DV

面前DV

コロナのなか虐待が増えたのか減ったのか・・・本当のところはわかりません。

しかし、昨今の虐待統計を見ていると、子どもの目の前で激しい夫婦げんか(DV含む)が行われる「面前DV」が、心理的虐待の数字を押し上げていることは事実のようです。外出が減り、家の中で顔を合わせる時間が長くなればイライラや葛藤場面が増えること。平たく言えば「相手の嫌なところが目に付きやすくなり、けんかが増える」ことは、容易に推測できます。

実際、ご相談のなかでも、「コロナで家にいることが多くなって配偶者やパートナーに対しての不満が増えた」とおっしゃる方は少なくありません。

小さな火種のはずが・・・

長年生活を共にしていれば、不満が募ったり、ボタンの掛け違いが起きてしまったりすることはめずらしくありません。気安い間柄だからこそ、ちょっとした言い合いがヒートアップして、罵り合いになってしまうこともあるでしょう。

ひとつひとつの不満の種は、たとえば靴下の脱ぎ方だったり、食器の洗い方だったり、LINEの返事が遅いことだったり・・・端から見れば“微笑ましい”ような小さな火種だったはずなのに、いつのまにか二人では収拾できないほど燃え広がってしまうこともあります。

「家族の問題をだれかに話すのは恥ずかしい」
「夫婦のことを他人が理解できるはずがない」

第三者の視点を入れて解決の糸口を探しては

カップルカウンセリング

「夫婦のことだから」と抱え込んでしまうと、関係はさらに硬直していきます。次第に解決の糸口を見つけることが難しくなっていきます。

長い間、こんがらがり、膨らんだ毛糸玉を解くためには、ちょっとしたコツや経験が必要です。今までと同じやり方を続ければ、ますますこんがらがってしまうかもしれません。

第三者の客観的な視点を入れて、不満や問題のタネを見つけ出し、問題点を見つめ直して、やり直すきっかけを探してみてはいかがでしょうか。

お互いに「やり直してみたい」という気持ちさえあれば、夫婦関係を修復する可能性は残されています。
カップルカウンセリングという選択肢も視野に入れてみてください。

広い意味でのカップルカウンセリングとは

ところでカップルカウンセリングというと「夫婦やパートナーを対象としたもの」と思われるかもしれませんが、広くは二者関係の調整をはかるカウンセリングを指します。たとえば「親と子」や「上司と部下」「依頼人と依頼者」などです。

身近にいる大切な人、簡単には縁を切れない重要な相手との関係性に悩みを抱えている方も、ぜひご相談ください。